舞台を作る、舞台の空気を醸す、劇の世界を囲い込む。何と至難の業だろう。実質的に4日から冬の水琴窟の稽古を始めたが、まだ4つある扉の一番目も開かない。今日は昼間一日稽古。やっと薄く隙間がのぞいたか?
開幕の空気がなかなか熟さない。開幕の闇が見えてこない。本当に「おもちゃ、下さい!」だ。
もっと遊ばなければ、いい芝居はできない。几帳面な職人には小道具、大道具は作れても芝居は作れない。羽目を外せ。外した羽目が客への矢になる。芝居はただ真面目なだけじゃお呼びでない世界だ。不真面目な真面目、さようなら! 真面目な不真面目、こんにちは!
空を見上げると火星がもう月からかなり離れ、天空の中央で輝いていた。
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