ラジオで、経済の解説。 「相次ぐ日本企業のMBO」だそうだ。
夕飯の味噌汁の実にするネギを刻みながら、という、 実に他人事の態度で耳を傾ける。
MBOというのは、management buyoutの略であって、経営陣が自社株を買収して、敵対的買収などから身を守るのだそうである。
大事なことは、これによって上場廃止するという部分であって、 企業は新たな資金の調達ができなくなることから、 成長をあきらめた企業と評価されるんだそうである。
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ラジオで、街角で市井の人のインタビュー。 「昔は一部上場をステータスとして頑張ってきたものだが、ちょっと情けないというか残念です」という、日本橋あたりのおじさん。
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解説するどこかの大学教授は、二つの側面があるという。
一つは、日本橋おじさんの言う企業の後ろ向きな姿勢。
もう一つは、企業は死すとも市場は死なず、とも言うような視点。 余剰の資本が新しい成長すべき企業への投資に向けられるからむしろよい、という視点。
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そして、なんだかよくわからないなりに私の意見。
投資家からやかましいことを言われたり、大事に育てた企業を強奪される心配をかかえずに、内にこもって家業に集中したいという気運の表れとしてみれば、それはそうだろうと思うし、鎖国大いに結構と思う。技術立国として次に展開するのであれば、冬眠の時期も必要だ。
心配なのは、上場企業ということで背負ってきた社会的責任の、 何を切り捨て、何を継続するかの判断だ。
たとえ市場という表舞台から降りたとしても、雇用者や環境、消費者への配慮や公開性については、外向けの化粧をないがしろにしないで美しくあっていてほしい、そのために必要な資金や手間は惜しまないでほしいと思うのである。
2007年02月15日(木) 悪評もされる資格なし 2006年02月15日(水) 歌があった頃 2005年02月15日(火) 善意の文章、悪意の文章
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