仕事が山積みになっている。時間はない。 自営業は、例えて言えば一人で何種類もの楽器を演奏する大道芸のようなもので、 それは総務部にまわしてくれ!と叫んでも、己に帰ってくるばかりだ。
四方八方から矢の催促を受けて、満身創痍である。
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あたふたどたばたしている傍らで、Hが手にしている本のタイトルをつぶやく。
「最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか」
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件の本は、スペースシャトル・チャレンジャー爆発墜落事故、エールフランスのコンコルド墜落事故、スリーマイルアイランド原発事故、チェルノブイリ原発事故、インド・ボパール殺虫剤工場の毒ガス漏出事故など、絵札級の事故をとりあげて、どちらかというと直接の原因ではなく、背景となった部分に焦点をあてている。
セキュリティの精度があがっても、システムが構築されていても事故は起きる。
そして、様々な要因のなかで、人間だけが普遍的に過失をおかすのである。 テクノロジーが進化した現代社会において、改めてその事実を突きつけられる。
私達はこの「自らが生み出したもの-テクノロジー-よりも劣る部分」を、 どうにかして受け止め許容していかなければ、人間として生きていかれない。
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そのようなブックレビューをしている場合ではない。 ああこんなことこそが、まさに、最悪の事故が起こるまで「私がしていること」なのだ。
だらだらとさぼらずに、さっさと仕事をしなければ。
2006年11月22日(水) analyzeエンピツ日記 2005年11月22日(火) 2004年11月22日(月)
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