養老孟司、岸由二著「環境を知るとはどういうことか-流域思考のすすめ-」を読む。
流域というのは、雨となって降り注ぐ水が集まるエリアの一単位をさす。 河川の支流本流の構成を示す水系とはちょっと違う。
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以下、岸氏の発言の抜粋。
「人間は誰とどこで住むかと言う問いに、地球を無視して答えはじめてもう長くなってしまいました。もういちど大地を暮らす習性の大切さを認識しなおして、地球に住むのにふさわしい倫理を育てなければなりませんね」
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流域は地球の重力の因果関係そのものである。 水が上から下に流れ、山を削り、土壌を堆積し、植物や風景を形作る。
そんな自然の因果関係を感じられる空間をベースにして、人工的な都市社会を構築していくことの大切さを、この本では述べている。
またそうした試みを、信州の田舎の町ではなく、首都圏をはじめ世界中で展開しようと提言しているところが、この人の大胆かつ面白いところである。
それに、構造改革とか政権交代という政治のキーワードよりも、岸氏の言うような「この国に住み直す」という表現は、身の丈にあった感じがある。
2006年07月13日(木) 耳なし芳一の後悔 2004年07月13日(火)
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