19時の列車に乗る。 車窓からは、この時間でもきれいな夕焼け空を見ることができる。
今は、一年で最も日の長い時期であることを実感しながら帰途に就く。
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夕焼けの片隅に、月が出ている。 週末の満月に向かって、膨らみつづけている。 まるで発酵途中のパン生地みたいに。
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月が様々なイマジネーションをかきたてるのは、それを直視できるからだ。
私達は、月が形を変え、夜空を動く軌道を変え、時には雲に隠れたり、 隙間から半分だけ姿をあらわしたりする様子を、大昔からずっと眺め、 祈りをささげたり、どこか人間らしいその変化に心象を重ねたりしてきた。
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それに比べて、太陽はまるで直視できない。 我々人間の目には、それを正視する能力がない。
太陽そのものの存在を認識するのは、ようやく直視可能になる朝陽や夕陽か、 あるいは、逆にその存在が隠れてしまう日蝕の時ぐらいだ。
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太陽は直視できない。 人間が讃頌するのは、太陽の使いである光と熱なのである。
だが、全く直視できないものが圧倒的な存在感を示すというのも、 思えば不思議であり、月とはまた違うイマジネーションをかきたてられる。
2008年06月24日(火) その他のメニュー 2004年06月24日(木) お世継ぎを!その2
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