2003年の合計特殊出生率の集計値を 年金法成立の12日前に把握していたとのニュース。
合計特殊出生率とは、 一人の女性が一生に産む子どもの数の平均を示す数値で、 2003年の統計値では1.29なのだそうだ。
計算値が狂うだろう、という言い分なのだと思うが、 年金問題についてはそれ以前の問題が多すぎであり、 年金を計算する上での出生率の多少の違いなど、 もうどうでもよいのではないかと、乱暴に考える。
それよりも「年金」という文字と「出生」という文字を 新聞記事などで併記しないでほしい、と、 個人的にはそこのところに筋違いの不満を抱く。 次世代に甘える卑しい概念だ。
子どもがどれだけ増えるか減るかなんて、 年金と同じぐらいあてにならないものだし、 問題は国民の数ではない、質だ。
国民の質にかかわる問題、つまり健康と教育と福祉の政策は、 やればまあいいんじゃないの、というヌルいレベルではなくなっている。
健康と教育と福祉が「満たされて当然」であった幸せな時代はとうに過ぎ、 意図的に作っていかなければ、深刻な社会問題を引き起こす。 ここ数ヶ月間のうちに嫌というほど見聞きした子どもや親子に関する陰惨な事件も、その一つである。
日本という国全体がぐらつき、社会の信頼感が危機に瀕する。 次々に起きる陰惨な事件に追われるようにして 国民を家畜のように服従させようとするような法律をつくっても、 国民の質は向上しない。 政治に新しい認識とセンスが、待ったなしで必要だ。
次世代に年金をせびる前に、やることは山積みである。
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