産業技術総合研究所が、白金族金属の中でも最も高価でかつ回収が難しいとされてきたロジウムを溶媒液から効率的に抽出する技術の開発にめどをつけた。また、同じ白金族で抽出に数時間かかるのが課題とされてきたパラジウムについても、独自に研究した抽出剤を使い、完全抽出に要する時間を5〜10分程度と劇的に短縮する方法を見出した、というニュース。
ロジウムとか、パラジウムというのは、車の排ガス制御のために使われたり、電子部品の材料になるもので、希少であることからその他の白金族金属を含めて、レアメタルとよばれている。
調達が難しいから、廃製品からこれを回収し再資源化する取り組みが検討され、都市鉱山構想などとよばれている。今回の開発で、さらにその気運が高まると予想される。 何しろ、外国へ行って交渉して金を払い、純度の低いものをマイニングするのに比べれば、既製品から取り出す方がよほど品質も効率もよいのである。
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問題は、ここからである。
では、私達が車や冷蔵庫を廃棄する時、それは一体いくらで買い取ってもらえるのだろうか。
私達は最近モノを消費する時に、リサイクル費用を負担している。 パソコンも、車も、冷蔵庫も、レジの支払い時に購入金額に処分代を上乗せして払っている。 そうであるならば、有価物は有価物として相応の引き取り方をしてもらわなければ、フェアでない。
まさか−エコロジーのような道徳観にねっとり絡ませて−、 献血みたいに何食わぬ顔をして、戦争中の金属供出みたいにして、 タダでもっていこうというのではあるまいか。
きのうのプレジデントの品格の悪さに引けを取らないぐらい、 私はセコイ消費者になってこの件をウオッチングしているんである。
都市鉱山が実現すること自体は悪くないし、件の抽出技術の開発だって相当に画期的なことなのだから、肝心の社会での運用がフェアでないとお粗末だ。 消費者に1円でも2円でも還元するか、販売価格を下げる努力をしてもらいたい。
もう少し言うと、レアメタルに限らず、ペットボトルとか牛乳パックとか肉のトレイとか、人々が持ち寄った再資源化可能なものには、すべからく対価を支払ってもらいたい。 少なくとも、あのぺらぺらのレジ袋を有料化して10円もとるならば、そうするべきだ。
2006年10月20日(金) 神の国で寝たきりの民 2005年10月20日(木) 毒がまわっている
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