浅間日記

2009年05月12日(火) 疫病神の宿る心

国内初の新型インフルエンザ感染者のニュース。
もう2日も経っているので、ニュースとは言えないけれど。

水際で食い止めた、というのは詭弁である。
カーボンオフセットと同じぐらい、実態を反映しない。

そんなことよりも、長年愛読させてもらっている日記の著者が、
「隔離されている人へもっと配慮を」と書いていることのほうが重要だ。

その観点をすっかり忘れていたと、反省した。
同時に、ハンセン病問題を思い出した。



「ハンセン病問題に関する検証会議」の最終報告書には、国による隔離政策の過ちについて、こんな風に書いてある。

一.新憲法の「文化国家」「福祉国家」の理念と、国立療養所への全患者収容の考えが結び付けられた結果、入所者らは基本的人権の享有者ではなく「新しく明るい日本」「健康の日本、無病の日本」の犠牲者となった。

一.戦後は保健所が地域からハンセン病患者をなくす「無らい県運動」の第一線機関であったため、運動のすそ野は医師や保健婦をはじめとして著しく広がり、これらの「善意」が戦前の衛生警察の権威以上に全患者収容に威力を発揮した。

一.ハンセン病も精神疾患対策も、諸外国に対する体面から始められた点で
共通している。隔離収容は国民の偏見を固定化し、差別を助長した。

一.報道記者の多くはハンセン病問題に不勉強で、療養所に足を踏み入れることもなかった。
報道が気付かなかったということは、社会的に問題が抹殺されたも同然だった。



厚生労働省が、新型インフルエンザの隔離政策で同じ過ちを繰り返さないことを願うと同時に、
どんな病気であれ、それに罹病した人は被災者であっても決して加害者ではないということを忘れてはならないと、自戒した。

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