エベレストを初登頂した、エドモンド・ヒラリー卿逝去、のニュース。 登山が探検たり得た時代の、最後の登山家の一人である。 ご冥福を祈る。
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今や、エベレスト登山は巨大なビジネスなのである。 登山用の酸素ボンベだけでも、円にして兆単位の市場である。 それに登山料やガイド料なども続く。
エベレストは今や、行列のできる店ならぬ行列のできる山となり、 アルピニズムとはまったく関係のない、 芥川龍之介の「蜘蛛の糸」みたいな世界になっている。
遭難した先行パーティを発見しても、 救助するどころかそれを追い越して頂上をふむような輩もいる。
ヒラリー氏には何の手向けにもならない話で申し訳ないのだが。
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パイオニアワークは、輝きをもっている。 人間としての使命感や覚悟やチャレンジ精神が純度の高い光を放ち、 人を感動させる。
でも、次に続くものが同じように輝くとは限らない。 リスクが目減りする分、何かが色あせるのかもしれない。
さらに「普及」という段階に至ると、 往々にしてそれは金目の異臭を放ちはじめる。
2006年01月11日(水) 楽園へ向う道
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