浅間日記

2007年07月19日(木) さよなら先生

夕方のラジオで、河合隼雄さん逝去のニュース。

昨年脳梗塞で倒れてから、眠り続けている先生はどうされただろうかと心配であったけれども、ついに逝ってしまわれた。



長年にわたり臨床心理の世界に貢献され、大きな業績を築いてこられた方である。
とりわけ私にとっては、人の心と物語についての研究、とくに
物語が人の心に働きかける力について書かれた本を、感心して読んだ。



混沌とした精神のうちにある人というのは、色々ややこしい。
気難しかったり、攻撃的であったり、衝動的であったり、依存的であったり、何かに異常に執着したりすることがある。

だから、人の心理に寄り添う人間というのは相当にタフでなければ、
治療対象としている人とともに、一緒に連れて行かれてしまう。

河合隼雄という人は、その点でとても優れた人であった。
暗闇にとびこんでいっても、暗闇に引きずりこまれることの決してない、
そういう人であったように思う。

そしてその心丈夫さはおそらく、氏の教養に支えられている。
自分の心を遠くへ遊びにだす術を、とてもよくご存知なのである。


今頃は天国で、得意のフルートを楽しんでおられるだろう。
ご冥福を祈る。

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