蒸留という作業をやってみようというお誘いを受け、泊りがけでSさん宅へ。 登場したのは、圧力鍋と塩ビのパイプと水槽を組み合わせた、 Sさん手製の実験道具。
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よい香りが立ち込める夜更けに、Sさんとシリアスな話。
この状況は極めて深刻で、そして貴方は十分ベストを尽くしている。 しかし人にはどうすることもできない宿命や因縁があって、 それは法律や制度ではどうしようもないことなのだ。
話に耳をかたむけて、このようにコメントをする。 それを延々と繰り返すしか術のない、やりきれない話。
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私達は過去の世代から沢山の宿題を引き継いでいて、 そのうちの幾らかは完了することができ、幾らかは未来に引き継ぐだろう。
それは、国の借金のように形が見える問題もあるだろうし、 網の目のような因果関係によって生み出された混沌も存在する。 目には見えないが、文明の歴史の分だけ、時代の中へ確実に横たわっている。
私は、今生きている者の責務として、 せめて自分ができると思う分ぐらいは、 そのこんがらがった網の目をほどいて、生を終えたいと思う。
子どもを一生懸命育てるというのは、そういうことだと思っているし、 そういうことを何世代にもわたってなし崩しにしてしまう戦争というものは、決してあってはいけないと思うのだ。
2005年12月24日(土) 大工よ、屋根の梁を高く上げよ 2004年12月24日(金) 冬の祝祭日
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