浅間日記

2006年11月20日(月)

雨は、明け方にはやんで、靄が立ち込めていた。
遠く離れた場所からみれば、この盆地はおそらく
何もかもすっかり雲に覆われて見えるのだろう。

けれど近景はそうではない。
埃や塵が洗い流され、世界はすっかりクリアなものとなり、
静けさと潤いをとりもどしている。

散り行く紅葉と、冬を越えていく常緑との別れの饗宴が、
音もなく、華やかさもなく、催されている。
ただ、深く沈み込んだ色彩の、静止画像として。

黒く湿ったクヌギの枝から枝へ飛び移って、鳥が遊んでいる。
その飛翔の時に見せる赤と白の羽だけが、
絵巻のようになって動かない森のなかに時間があることを示している。

2005年11月20日(日) 他人の仕事
2004年11月20日(土) 不安な気持ちはどう表すか


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