仕事からもどったら、カメが死んでいた。
少し前、Aから「なぜ自分に弟や妹がいないのか」と相談されていた頃、 Hが無神経にも「ペットは家族」などと嘯いたことが理由で、 私は実際のところ、このカメとほとんど関係を断っていた。 世話もしたことがないし、別に死んでもいいやと思っていた。
行きがかり上、もっぱらHが可愛がることになってゆき、 今は、インド遠征中はくれぐれも世話を頼むと言い残したから、 不承不承、水を替えたり餌をあげたりしていた。
そのうちに、カメの小さい手や、砂をカシャカシャとかく様子を、 可愛いものだと思い始めたころである。
世話の仕方が悪かったのだろう。 ここしばらく元気がないと思っていたのだが、 水草の下で、白い腹をみせて水に浮かんでいた。
ペットは家族ではない。しかし生きものは仲間だ。 そうだから、それを失った時には、明確に「何かを失った」と、 ある種の衝撃をもって自覚させられる。
線香を何本かあげて、手を合わせて、埋葬する。 カメにもHにも、悪いことをしたなと思う。
そして、こんな喪失感を感じるぐらいなら、 もう生きものを飼うのは結構と、今はそう思う。
2005年09月05日(月) 2004年09月05日(日) 道路と自然
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