世界のトップクライマー達とのちょっとした交流会に参加したHは、 自分のクライミングを見直すいいきっかけになったよ、と嬉しそうに話す。
ここのところ仲良し登山クラブみたいな感じで岩場へ向うHに対して、 この人の挑戦はもう終わりかな、と思わないでもなかった。
そのことは家族として確かに嬉しい、歓迎すべきことなのだけれど、 何か私が好きだったものとは違うものが山岳業界から返品されてくるような違和感があったし、 今度の遠征で大きな遭難をしそうな不安も拭えなかった。
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だから私は、目標を高く据え、生き生きとした目で話し、 久しぶりに彼らしい定位置にもどったHに嬉しくなったんである。
そしてつい、まずいことに、後先も考えず 「じゃあスロベニアに1年ぐらい行ったらいいじゃん」 などと、口にしてしまったという訳である。
2005年02月19日(土) 嘘笑い禁止令 2004年02月19日(木) ファンタジーと生きる その2
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