2005年06月21日(火) |
大人はわかっちゃいけない |
ラジオをつけたらメンデルスゾーン特集をやっていた。
「15歳の時に作曲したんだってさ」とHが感嘆。 「今の俺達が作るものなんて、『15の夜』だぜ。比べ物にならないよな。」
「15の夜」というのは、早世したミュージシャン、尾崎豊の代表作。 彼の音楽世界で、迷える若者は盗んだバイクで走ったり、ガラスを割ったり無謀をやらかすのである。
これをきっかけに、話題は現代の15歳へ。 バイクを盗まれた人の気持ちを考えもせず何が世の中の真実だ、と辛口発言のH。
その通りだと思う。 その通りだけど、社会的に不安定な若者が無謀にはしる−実に様々なかたちで−ことは、おこり得る。
でも既に大人になった私は、そういう事実を「まあ理解できる」とか「そういう時期もある」などと言ってはいけない。言いたい気持ちをぐっと押し込めて、「笑わせるな」と言わなければいけない。
無謀の根源にある「生きていく不安」を社会から取り除く努力を押し黙って粛々とやっていくのが、もうとっくに15ではない私の務めなのだ。
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番組表によると、件のメンデルスゾーンが15の時に作曲したという曲は、「鳩のように飛べたなら(“我が祈りを聞きたまえ”から)」というのらしい。 まったく、よりによって、なんというタイトルだ。 私が解釈できないだけで、これもひとつの「15の夜」なんじゃないかという気がしてきたんである。
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