「進化論否定の公教育」という記事。アメリカ国内でのこと。進化論は「神が万物を創生した」と説く聖書の教えに反するため、20世紀前半から米国で論争になっており、法廷問題にまで発展している。
ここ最近では、1980年代頃に提唱されはじめたインテリジェント・デザイン(ID)なる説をめぐって、米国内で議論が高まっているらしい。 記事によると、IDとは「人間の複雑な細胞の構造は進化論だけでは説明できず、高度な理知の手が入ることにより初めて完成する」というものだそうである。
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聖書に「高度な理知の手によって天球が動かされている」とか「高度な理知の手によってパンケーキはつくられる」と書かれていなかったことについて、アメリカ国民は神に感謝するべきだろう。
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どの国にも多分、程度の差はあれ、内なる病理というのが存在する。米国にも中国にも、日本にも。そして内部の人間はその異常さに気付かないものである。 だからこのアメリカでの聖書と進化論をめぐる馬鹿げた話について彼是言うつもりはないのだけれど、ただグローバリズムというのは、−知らない強みで言ってしまうと−そうした内なる病理を外国に押し付けるという側面があって、昨今米国が批判を浴びるのはそうした理由なのではないかと思うのである。
2004年05月18日(火) 資質かシステムか
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