2005年03月13日(日) |
24時間営業・徒歩10秒の未来 |
寒い朝。手袋なしで朝の散歩に出たAは、早々と根を上げていた。
平成16年度の文部科学白書が公表される。 「生きる力を支える心と体」と題した特集が組まれているらしい。
・体格の向上とは裏腹の体力の低下、 ・自然や社会とかかわる機会の現象、 ・栄養摂取の偏りなど基本的生活習慣が身についていない
などが、問題点として指摘されている。全くそのとおりだ。 そして同時に、この問題は、大人にもまったく同じことが言えるのである。
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24時間365日のサービスは今や標準だし、 駅から近くて歩かないことがよい立地である。 傾斜という傾斜、階段という階段には、昇降機がしつらえられる。
味覚を研ぎすます必要のない、甘くて刺激的なジャンク・フードは、コイン一つで買える。 包丁とまな板が嫌いなら、食べ物はデパートの地下にいくらでも埋まっている。 人々が腹を空かす隙を、市場は1秒だって与えない。
日本人は世界で一番眠らない国民と昨今の調査結果にあるように、 幼い子どもも深夜の1時2時に飲食店やコンビニに連れまわされる。 ネットの世界は、いつも誰かが起きていて集まれる仕組みができている。
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資本というのは、そうなるように流れている。 消費者に忍耐や試練を提供することで収益を得る事業というのは、 おかしな宗教か色物産業ぐらいで、普通は成り立たないからだ。
楽をして好きなように暮らす、そういう世界に囲い込むことで、 子どもと大人の生命力を奪って増幅している。 アメリカという国がお手本である。まさに「ロジャー&ミー」の世界だ。
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白書で指摘した課題は、子どもの育ちを資本の論理から守るという、 重たいハードルを内包していることに、 どうも当の本人である文部科学省は気付いていないのではないか、という気がする。
本気で実現したければ、経済産業省とケンカしなくてはならない。 繰り返していうと、 経済産業省を敵にまわさなくては、教育の課題はいつまでもこのままか、もっとひどいことになる。
文部科学省は、そこまでの覚悟があって書いたのだろうか。 そうあってほしいけれど、多分違うだろうなあと思う。
まあとりあえず、このように白書で明文化したことは、決して悪くはない。
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