浅間日記

2004年12月13日(月) 王様の手料理

新宿で中華のランチを食べたら、米がタイマイでひどい思いをした。
タイマイが嫌いなわけではないし、特別美味い物を期待した昼食ではない。
しかし中華料理の主食としてはどうみても不適当なこの米を、
安いものを出してやれ、という店の判断で喰わざるを得ないことに、
すっかりげんなりしてしまった。
枚挙にいとまがない「嫌な外食」のワン・オブ・ゼムがまた増えた。



農水省が発表した、食料自給率に関するニュース。

今まで数値に反映させていなかった「食べ残し分」を
食料自給率の計算に加味すると
−つまり実際に食べた分で自給率を計算すると−
これまでの40%から16%もアップし、56%なのだという。
この数値は平成10年度の政府目標を大幅に超えているのだそうだ。

誰でもそう思うように、これは外食産業の重要な課題だ。
こんな罰当たりな数値を二度と出さないことを、ぜひ
平成10年度までの政府目標にしてもらいたい。



そして、これはまた、消費する自分達の問題でもある。
食べるという、人間の根本的な部分を支える作業を、
私たちは金を出して他人に委ねている。あまりにも気楽に。
これは食べ残し云々というより人間らしさという意味で危険なのである。

顔の見える人のつくる、心のこもったものを食べる、
自分で作って食べる、皆で作って食べる、
こういう作業の向こうに見えてくる豊かさは、老若男女を問わず
実感する権利がある。

仕事に忙しい昼食だって、握り飯一つからならば誰でもとりかかれる。
米屋で一番高い米を買い、食材屋で一番高級な梅干と海苔で作れば、
かなり上質なのができる。
餌みたいな丼飯屋で化学調味料で舌を麻痺させるものを喰うよりは、
よほど美味しい。

外食は、こうして小金をためておいて、自分という客のために、
作り手がプライドをかけて作り、極上のサービスとともに提供される、
そういう信用できる場面で使おう、とつくづく思うのだった。


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