浅間日記

2004年10月15日(金) 群集の力を確信する人

本日から新聞週間というものなのらしい。
ローカル新聞が、特集を組んでいた。
導入文は、このように綴られている。以下抜粋する。

混迷の時代に、新聞はこれまで以上に役割を果たすよう、求められている。
世界各地でテロがやまない。国内でも、虐待や自然災害で弱者が犠牲となる出来事が続発。暮らしの中で景気回復は実感しにくく、閉塞感が私たちを覆っている。「何かおかしい」「こうじゃないか」。そんな思いを抱く一人ひとりと新聞が、地方から共同作業で声を上げていくことが重要だ。(抜粋終り)



長野県というのは、実はいくつかの優れた出版社を生み出した土地である。
岩波書店然り、筑摩書房然り。
かつて教育県といわれた気風の表れかもしれない。

そして、そのうちの一つである、理論社の創業者である小宮山量平という方の話が、件の特集記事のメインに据えられていた。再び抜粋する。



「今は、政治のあらゆる場面で、『無理が通れば道理が引っ込む』という状況になっています。かつてなら考えられなかったような法案も、右から左へすっと通っていく。新聞などのマスコミもその問題点を一生懸命書いてはいるけれど、状況は変わらない。−中略−…有名人がスクラムを組んでも、いとも簡単にすり抜けていくむなしさを、私たちはこの間、何度となく体験させられてきました」(抜粋終り)

このように主張する小宮山氏は、有名人やメディアよりもむしろ、
群集の立場を鍛えることに、権力への有効な対処法の可能性があると言う。
そのためには、群集が一人ひとり自分の言葉をもち、
相手のつぶやきを認め合うモラルを確立することが大切だ、と訴えている。
最近の、ネット上での出来事なども背後に置きながら、冷静に分析している。

またその場合、「命が一番大事」という根源的でシンプルなものが、
群集が言葉を紡ぎ出す求心力たり得るだろう、とも言っている。

敗戦後の、日本人の思想・言論をリードしてきた人の眼差しは、
鋭すぎるほど鋭い。そして、話に無駄がない。

私も、自分の言葉をもち、人の言葉を尊重し、今生きている事実を一番大事なこととしたい。本当にそう思う。


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