浅間日記

2004年09月20日(月) 山からの不労所得

山の家で栗を拾う。

栗というのは、紅葉が始まってから収穫しては遅いのだ、
ということに、恥ずかしながら今年気がついた。

今年はいつもの場所に、一番乗りである。
獣も人もまだ誰も手をつけていない。奇跡だ。

埃っぽい林道の落葉落枝の間に、ピカピカツヤツヤの実を見つける。
落果した際に、イガから外れたらしいのが、沢山転がっている。

虫食いの穴を検査するが、なし。無事合格である。
山のように、とれた。

ついでに鬼胡桃を拾い、土に埋める。
腐らせて種子を取り出すのは、来月か再来月である。



栗や胡桃がここまで実を成熟させるまで、
自分は畑仕事のように汗をかいたわけでもなく、
ただ口をあけて時期を待っただけである。
つまりは栗の、子孫を残そうという努力の、上前をはねているわけである。

こういう不労所得は、何となく罪悪感がぬぐえないので、
山の神様でもしつらえて感謝とともに自己申告しよう、というのが
秋の祭りなんだろうか、とぼんやり考えながら山道を下りた。



午後は大根の間引き菜の葉をざっと洗い、軒下に干す。
これが最高に美味い飯の友になる日を思い、うっとりする。
また、風呂に入れて身体の芯から温まる冬の日を思い、わくわくする。


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