2004年09月02日(木) |
根気よく人を説教する話 |
再びコミックの話題。もうやけくそ気味である。
「昭和の男」(入江義和、講談社モーニング)。 前作「のんちゃんのり弁」という漫画では、手料理というものを本当に美味しそうな心のこもった食べ物ものとして描いていた。今回の作品は、下町の頑固な畳職人の箕浦茂男という人物を中心に物語がつくられている。
この作者は人物描写が一級品である。グータラでだめな男や子どもの教育に入れ込む母親や、頑固な親父とその連れ合いの特徴をみごとにつかんでいる。
この人のすごいところはそれに留まらず、そういう特徴をもった人々が集まったところにどんなコミュニティが成立し、どんな関係が築かれるか、という部分を、実にリアルにつかんでいるのである。
物語づくりの土台をしっかり築くことができる作家の、その土台の上に思うがままメッセージを載せられる、という自由自在な感覚が羨ましい。羽根が生えて空を飛べる人のようだ。
物語中の「しげじい」こと箕浦茂男が、居候でダメ男の二ノ宮貴久に、疲れながらもこんこんと説教をする場面は、これはおそらく作者のフィクション世界で、作品に盛り込みたい思いの一つではないかと思う。
ダメな人に、話せばわかると信じながら面倒を見続けるなど、今の社会ではまったくのフィクションである。だがそこのところが何よりも私を惹きつけ、この作品を優れたものにしている。
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