浅間日記

2004年07月28日(水) 福祉パニック

日本看護協会なる団体主催の、日本看護学会を、
一般参加者としてのぞきにいく。
あたり一面、全国から集まった看護関係と思われる女性だらけである。

資料によると、
この日本看護協会というのは、戦後まもなく設立された
保健師・助産師・看護師・准看護師の有資格者による職能団体で、
この業界ではかなりのオーソリティなのである。

その中で、多胎児の母親グループの代表による、
周囲の無理解を問題とした発表。

ああ、またか、と思ってしまう。
ここわずか数日の間に、
障害者、高齢者、不妊の女性、そして多胎児の母親から、
差別や無理解、ケアの不足についてのコメントを得た。

差別や無理解があるのではない。
想像力と共感がないのである。

自分と異なるものへの想像力と共感がなければ、
差別や無理解など至る所で発生するにきまっている。
今の世の中、むしろそういうものがない場面のほうが珍しいぐらいだ。

その結果、「自分をわかって欲しい」と思う人ばかり氾濫して、
今の社会は、実は、ちょっとしたパニック状態なのではないかと
思ってしまう。



私の勉強不足なのかもしれないけれど、
福祉という言葉に、行政側の都合で
「高齢者」とか「障害者」とかいう冠をつけることは
その冠から外れる人達の関心をそらせ、
また当事者の方々を社会から遠ざけてしまうような、
むしろ弊害なのではないかとさえ、思っている。

色々な属性や生き方の人が助け合って共存してこそ、
楽しく豊かな社会なのである。
だから、何も特別なことではなく一緒にやっていって、
困った時には知恵を絞ればよい。
そういう、ちょっとのんびりした
ノーマリゼーションの全体感を創ることこそ、
福祉の役割としてほしいものだ。


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