浅間日記

2004年04月22日(木) 覚悟と決意のトレーニング

昭和50年代に作成された、ブラジル日系移民のドキュメンタリービデオ。

コロニアと呼ばれる日本人移住地で暮らす
移民一世、二世、三世たちの様子。移民開始70年の祝典。

移民一世達の、移住にあたっての覚悟と決意は相当だったに違いない。
若しくは、異国への想像力が至らなかった故の見通しなき決断か。

番組には2歳や3歳で移住した人も多く登場する。
「次男だったので、移民に出されました」
「ブラジルへ着いて間もなく父親が死んだので、暮らしは大変でした」
シンプルなコメントの背後を勝手に想像して胸を熱くする。

安住できる岸辺から離れ、もう元へは戻れない状態でいることの
不安や恐怖を乗り越えながら、先へ進むもうとする覚悟と決意は、
人間を強く成長させる何かがある。美しさを帯びた何かが。

現代社会では、
そういう果てしない距離や時間や価値観は、絶滅してしまった。
そして気が遠くなる程の覚悟と決意は、現代人に無縁となった。

今ではほとんどのことにおいて、「もう戻れない」ということがない。
気に入らない服は返品すればいいし、結婚に不満ならば離婚すればよい。
仕事がいやなら辞めればいいし、別に我慢することがよいことではない。

だからこそ、自分が大切に思うことに対しては、
意識して、覚悟と決意を持ち臨んでいたいと思う。
この覚悟と決意という心の体力は、
一度失うとなかなか元には戻らない。


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