天上天下唯我独尊

2016年05月21日(土) ひとりじめっ子

主人が泊まりがけの研修に行ってしまったので、私も妹の所に行く事にした。
今回は遊びに行くだけ、私はまだ怪我が痛いから家の事はやらないけどそれでもいい?と妹に訊いたら、いいよ来て来てーと言うので、のこのこ出掛けて行った。
向こうに着いて、妹と甥っ子と3人で、車で買い出しに出掛けた。
パン屋に寄ったら試食があったので、甥っ子の口にも放り込んでやると、大層気に入った様子。
口を開けてもっと寄越せアピールをするので、これは試食なので一口だけね、今お前のお母さんが買ってくれるから、お家に帰ったら皆で食べようねと言ったのだが、全然聞きやしない。
黙らせるために別のパンの試食を口に入れてやったが、まだ足りない様子。後でわかったが、おやつを食べる前に保育園から引き揚げたので、かなりお腹が空いていたらしい。
何やら言いながらショーケースに歩み寄り、ケースの上の試食の小さな籠を指差して泣く。甥っ子の位置からは死角なのに、私がそこから取り出したのは見ていたようで、そこにあるのはわかっているらしい。何だか感心してしまった。
会計の時にお店のお姉さんが気を利かせて、泣き叫ぶ甥っ子の手に、買った物のうちの小さい小分けのパンを持たせてくれたので、帰りの車の中でそれを開けて食べさせる事にした。
一口ずつちぎって与えて、甥っ子が大人しくなったので、
「じゃあ残りは私のね。半分こ!」
と言って私の口に放り込んだ途端、
「ぎゃああああああああああああ!!」
と再び泣き叫ぶ甥っ子……さっきより煩い!
「おいおい、独り占めする気だったのかよ、お前。それは流石に甘いぞ。ちゃんと人に分け与える事も覚えないとな」
と取って付けたように教育的な事を言う私に、
「ええと、支払ったのは私なんですが……なのに一口も貰えなかったんですが」
運転しながら妹がおずおずと口を挟んだ。
そういやそうだった。すっかり忘れていたが。

腹を空かせた甥っ子が、今すぐ食べる!という勢いだったので、帰宅して買って来たばかりの惣菜パンを皆で食べ、それで夕食にしたのだった。
よし、晩飯も早々に済んだし、さっさと甥っ子を風呂に入れて寝かし付けて、2人で酒盛りでもしようぜと言っていたのに、こういう時に限って何故か寝てくれないのが甥っ子。
21時前に私が風呂から上がると、甥っ子が玩具を手にニコニコしながら洗面所に迎えに来た。20時に寝たんじゃなかったのかよ……と寝室を覗くと、妹だけ布団で寝ていた。
しょうがないなあもう……と甥っ子を抱き上げて妹の隣に置いたが、すぐに起き上って、嬉しそうに何やら言いながら私に抱き付いて来た。完全に興奮して遊びたいモードになっている。
起きて来た妹と2人で何とか寝かし付けようと、何度も寝室に連れ戻したがどうにもならず、ヤダヤダまだ遊ぶのーとばかりにじたばたする甥っ子を妹が抱きかかえて最後に寝室に引っ込んだのは、22時を回ってからであった。
酒盛りがパァ……。


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