ど‐じん【土人】 1.その土地で生まれ育った人。土着の人。土地の人。 2.未開地域の原始的な生活をしている住民を侮蔑していった語。
猫をよく見かける。 猫自体は可愛いし嫌いじゃないのだが、所構わず糞をするので、それだけが我慢ならぬ。 先月、玄関前の廊下で下痢便を垂れ流された時には、流石に大家さんもすぐに動いて、業者を呼んで片付けと消毒をしてくれた。 そして階段脇に猫避けグッズ(僅かに刺激臭がする、恐らく人体にも有毒であろう薬剤)を置いてくれたが、猫は相変わらず堂々と駐車場を通り抜けるし、糞が道端に落ちている事もあるので、徒歩で出掛ける時にも気を抜けない。 「根本原因であるところの猫を何とか出来ませんかね、保健所に頼むとか」 と大家さんに言ったのだが、おっとり上品な大家さんは、 「町内会の皆さんも困っていて、町内会長さんとも相談したんですけれどね、もし飼い猫だったら大変なので……」 と、思案投げ首涙顔。 「鈴も首輪も付いてないんだから野良扱いでいいだろうよ、もし処分後に飼い主が現れて抗議して来たところで、飼い猫のしでかした事は飼い主の責任なんだから、逆にこれまでかかった猫避けや消毒の費用を全部請求してやれや!」 と言いたかったが、それを言うと何故かこちらが悪者になってしまうド田舎の不条理。 くっそー、毒物でも仕掛けておきたいわ。猫死ね。
そんなある日、またしても駐車場で猫の糞発見。 うちの駐車スペースではないけれど、大家さんに言った方がいい?と主人に訊くと、 「言わなくていいよ。そのうち土に還るだろ」 と驚きの回答が。 「ハァ? アスファルト敷きなんだから、還らないよ?」 と主人に言い返してみて、やっと解った。 何故ここの田舎のジジババが、平気でゴミや吸い殻をポイ捨てするのか。道端に痰を吐くのか。スーパーの駐車場でジュースで嗽をしてその場で口から出すのか。 土の上で育って、それが当たり前で、何でも地面に捨てれば土に還ると思っていたからなのか。 そして自分の夫もポイ捨てはしないものの、同様の思考回路だった事に軽く絶望した。
大家さんに一応電話をしてみたが、休日のためか、繋がらなかった。 翌日には、猫の糞は風雨に曝されて、殆ど無くなっていた。
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