夕食が早過ぎたのか、夜になって、急に空腹感に襲われた。 主人が 「こないだ買ったチーズでも食べる?」 と言うので、一口分けて貰った。
ホントに美味しい……!
リッツに付けて食べてみた。やはり美味い。 今度は酒が欲しくなる。チーズには赤ワインだと主人が言うので、貰い物の赤ワインを開けた。
うえ〜〜〜
やはりワインは苦手だ。一口飲む度に、酷い顔になる。 そんなに不味そうに顔して飲まなくても……と主人は言うが、開封しちゃったんだし、飲まなきゃ消費し切れないだろうが。 責任を持って主人に全部空けて欲しいところだが、彼はほんのふた口、お猪口1杯分でもう真っ赤っ赤で、これ以上飲んだら死んでしまう。 仕方が無いので、私が飲むしかない。 1人で半分ほど空けた。流石に1本全部は無理。 アルコール容量的にではない。味の問題だ。 美味しかったら余裕で空けるんだけれどな。 チーズとリッツも結構食べた。 これは、心配だ。 折角頑張って、食べる量を減らしていたのに、これでは元の木阿弥ではないか……!
それでも結構いい気分になって、お片付けに台所に立った主人に絡んでみた。 そしたら主人がひょいと避けたので、バランスを崩した私は、そのまま横にひっくり返った。 体を支えようと手を付いたのだが、それが間に合わずに変な方向に捻ってしまった。 「シオン、大丈夫か」 「ううん、大丈夫じゃない……肩が、肩が痛いよう〜」 嗚呼これはまずいと思いつつ、自分でもどうにもならなかったのだ。 咄嗟に体が動かないというのは、恐ろしいと思った。 老人体験装置というのがあって、視界の狭い色付き眼鏡をかけたり、腕や脚に錘を付けたりするが、そんな物無しでも老人の気分を体験する事が出来た。 体の自由が利かないのは恐ろしい。 どうせなら、元気な年寄りになりたい。
でも、出来れば歳は取りたくないな!(無理)
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