遅くに帰宅した主人が、飲み会での様子を話してくれた。 主人は実際の年齢よりも若く見られる事が多く、今日も 「あれ、春さんってK木さんより年上なの?」 と言われたそうだ。 主人の後輩であるK木は、それを聞いて憤慨したという。 「いやいやいや、僕いつも春さんに敬語遣っているじゃないですか! 同い年だったら敬語遣いませんって」 「ハハハ、そう言えばそうか」
そんなK木氏は、愛妻家である。 K木の娘は、主人曰く「両親のいいとこ取り」でなかなか可愛いのだそうだ。 (因みに息子は父親似でアホ顔。逆じゃなくて良かったと他人事ながら思う) お嬢さん可愛いんだって?と同僚に言われたK木、、 「そうなんですよ。あいつは母親に似まして」 と言ってのけたそうで、横でそれを聞いていた主人は、お茶を噴き出しそうになったという。 「あいつは凄いよ、何たって自分の奥さんが1番だと思っているからな。何かと言うと、二言目には『でもうちの奥さんが1番美人ですけれどね』って言うんだぜ。客観的にちっともそんな事無いのに」 と主人が呆れ果てているので、 「それは、見た目じゃなくて性格が美人だと言う事なんじゃ」 とフォローを入れてみたが、主人はブンブンと首を横に振った。 「全然。あいつの奥さんの事も知っているけれど、性格的にもどうなのよそれはって感じなんだよ。なのに奥さんに首っ丈なんだ」 「あ、そう……」 でも、それはそれで素晴らしい事だと思う。自分で選んだ奥さんを貶すより、よっぽどいいよ。 客観的に微妙な奥さんでも、亭主本人がそこまで気に入っているのなら、本人達は幸せなのではないだろうか。
「ところで、K木は兎も角、貴方はどうなの? 奥さんが1番美人だと思ってる?」 と奥さんとして気になるところを付いてみた。 「うちの奥さんは1番ですよ」 「1番『美人』かどうかを問うているのだが」 「充分可愛いからいいの、見た目じゃないの。うちの奥さんは唯一無二の存在ですから」 とヨシヨシしてくれたけれど、何だかお茶を濁された気分だ。
|