そもそも服も小物も、黒いのは持っていないのだ。 黒は似合わないって診断されたんだもん。 似合わないのだから、黒い布も買わない。 私が持っているのだと、地味な色は、精々茶色かチャコール・グレーだ。
まずは靴だ。 花粉症の主人はお留守番で残して、単身大型スーパーへ。 靴売り場は2階だったっけ……と中に入ると、
まさかの2階封鎖中。
先月の大地震でぶっ壊れたっぽい。 どーすんべと思ったら、1階に急遽特設コーナーがちんまりと設けられ、靴はフォーマルスーツと一緒に並べられていた。 そうか、新入学の季節だもんな、フォーマルが無いと皆困るのか。 自分のサイズの靴を、片っ端から試し履きして、これならいいかなと妥協出来る物を選んだ。 一寸痛いが、肉刺が出来るほどではない。長時間歩き続ける訳ではないし、大丈夫だろう。 お値段はそんなに痛くないし、遠くの店まで買いに行っている余裕は無い。 よし靴は決まり。
同じ売り場に黒コートもあったのだが、こちらは如何にも安っぽ過ぎて、到底買う気になれなかった。 なので寂れた商店街に行ってみた。 色違いがあったら欲しいな、というコートはあったが、生憎黒が無かった。 おばさま御用達な雰囲気のお店にも行ってみたが、どうにも好みではなくてやめた。 結局コートは見付からず、途中の文房具店で香典袋と筆ペンを買った。 コートはいいや。 日中暖かければ、無くても大丈夫だろう。
あとは、袱紗か。 紫の布って、ニットしか持ってないや……既製品を当日に買うしかないか。 仏壇の無い家で育って、親はマナーを教えてくれなかったもんだから、私はこの歳になっても、冠婚葬祭にとんと自信が無い。 インターネットがあって本当に助かるわ。
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