天上天下唯我独尊

2010年09月27日(月) ドラマ「なぜ君は絶望と闘えたのか」

土日の2晩連続で、わうわうのスペシャルドラマを観た。
光市母子殺害事件を描いた同名の原作を脚色したものであるらしい。
有料チャンネルの放送とは言え、人権だのの面倒事が関わって来るからであろう、登場人物の名前は書き換えられている。
犯罪被害者遺族を支援する岡村勲弁護士は「横沢昭雄」、犯人である福田孝行は「秋山譲」、そして被害者遺族の本村洋さんは「町田道彦」という名前で登場していた。
裁判の本筋には手を加えていないようで、ちょうちょ結びもドラえもんもそのまんま裁判に登場していたが、事件を追いかける記者(原作の著者)には昔の恋人との復縁フラグまで立っちゃって……という、どこまでが現実でどこからが虚構なのか、裁判の経過についてはTVのワイドショーや週刊誌ぐらいの情報しか知らない一般視聴者には、多少判り難い仕立てになっていた。
なので前編における、絶望した「町田」君が自殺しようとする場面は事実なのかどうか、もやもやした思いを抱えながら観ていた。
ドラマとして話を作る以上、まさにドラマチックな脚色を加えたいという製作側の思惑は理解出来るが、虚構と現実を綯い交ぜにすると受け手は混乱してしまうという事も考えて欲しいものである。
特に、現在進行中の裁判の話なら、尚更の事である。

それはさておき、見応えはあった。
正直、主人公である雑誌記者の恋愛物語は必要ないのではないかと思ったが。
TVでしか見た事の無い本村さんは、決して怒りを感情に任せてぶちまけるような事はせず、常に自分を律して張り詰めているが、彼にも日常があり、差し戻し控訴審の死刑判決に至るまで、どれだけ苦難の道を歩んで来たのかという事を垣間見る事が出来た。
そして周囲の同情だけではない、理解と支えがあるのだという事を。
でもやはり、どこかが虚構なので、ここは事実?それともフィクションなの?と考えながら観てしまうので、集中出来ない。
どうせなら、フィクション部分無しでやって欲しかった。

被害者である奥さんは、福田が根気良く探して見付け出した「美人で可愛い」獲物だった。
点検に来たという作業着姿の犯人を、笑顔で迎え入れたのだ。
えっ点検なんてあったっけ?という場合は、招き入れる前に、すぐに管理会社に連絡を取れるようにしておかないと駄目なのか〜と、いつもの癖で、犯罪を未然に防ぐためにはどうするべきかを考えながら観ていた。
万一襲われた時には反撃に転じられるように、凶器の鶴嘴を部屋の隅っこ棚の陰に隠しておくとか、兎に角一撃必殺で潰してやるぐらいの勢いで股間に蹴りを入れるとか。
しかしやり過ぎると過剰防衛でこちらが罪に問われるのか?
いやいや、命の危険を感じた!と女性が泣いて訴えれば正当防衛と認められるのではないだろうか……など。
「その前に、ターゲットにならないように、家に入る時は普段からすっぴんのボサボサ頭でヨレヨレの部屋着でいた方がいいのかしら。でも突然来客があった場合に困るし……どうしたらいいと思う?」
と一緒に観ていた主人に訊くと、
「ああそうだね、シオンは美人な奥さんだから危険だね」
と棒読みで答えてくれた。
なんか悔しい。


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