民主党代表戦は、現職菅直人総理の勝利に終わった。
投票結果を見ると、党員・サポーター票と国会議員票の間には、大きな隔たりがあった。 前者では菅氏優勢、後者では両者拮抗だったのである。 石原都知事も言ったように、永田町と世間の常識が如何に違うかが判った選挙であった。
首相は変わらず、菅氏の続投が決まった。 一体、今回の選挙には、何の意味があったのだろうか。 野党時代なら兎も角、与党第一党としての党首を決めるにしては、党員以外や死人宛てに投票券が届いたり、党員やサポーターであれば外国人にも投票権があるなど、お粗末な管理体制や仕組みの問題点が明らかになったぐらいで、その他の利点が見付からない。 円高問題、外交問題など様々な課題が山積していたのに、政府与党は代表戦に振り回され、本来の仕事が疎かになっていたように見えた。 末端の新人議員達も同様で、誰もが国会議員の仕事より、民主党議員としての仕事にばかり感(かま)けていたのではないだろうか。 いやいや国会の仕事もしていました、との反論もあるだろうが、本来国の仕事をするべき国会議員が、党の仕事にまで多くの時間を割かねばならない事態に陥っていたであろう事は、想像に難く無い。 国から給与を貰っていながら、それを疎かにして、彼等は党の仕事をしていたのだ。 これは、国にとっての損失である。
小沢氏は、総理の椅子に座りたかったのだろう。 嘗て自民党に籍を置いていた頃からその機会を窺っていて、実際なれそうだった事もあったのだろうが、彼には夢だけではなく、病気も疑惑もあった。 多分、これが最後のチャンスだと思ったのだろう。 だから鳩山兄を巻き込んで、代表戦に名乗りを上げた。
菅さんが勝って良かったと、私は思った。 小沢総理が誕生したら、岩手の人間は喜ぶだろうが、国益に適うとは思えない。 第一に、小沢は起訴されるかどうか、ぎりぎりの所にいる。 もし総理になってから起訴されたら、大変な事になる。 起訴されるかも知れない人間を国のトップに据えるのは、流石に如何なものか。 それで民主党が責任を問われて、与党第一党の座を追われたら、それはそれで良いのかも知れないが、対外的には最悪だ。 そう、対外的な問題もある。 就任僅か3箇月で国の首相が交代するのは、好ましくない。 それでなくとも、小泉引退後のこの4年間、毎年総理が代わっているのだ。 何が何でも政策は公約通り実行する!公約していない外国人参政権も実行する!という小沢よりは、菅さんの方がまだ何ぼかマシである。
そう、今回の代表戦、昨年の衆院選と同じなのだ。 どちらが相応しいかではなく、どちらがまだマシかで決まったようなものである。 決して、菅さんの消費税増税に皆が賛同した訳でも、菅さんの指導力に惚れた訳でもない。 続投首相には、その辺りを肝に銘じておいて欲しいものである。
そして、この事態を惹き起こした小沢一郎。 日本の状況を見れば内部抗争などしている場合では無いと判る筈なのに、民主党内を引っ掻き回した彼の責任は重い。 そして、初めは代表戦なんて止めとけと珍しくまともな発言をしていた癖にその言を翻し、神輿を担いだ鳩山兄の責任も重い。 2人仲良く退陣した3箇月前と同じように、今回も仲良く、そして今度こそは2人共、政界を去っても良いのではないだろうか。 特に鳩山兄は政界には要らない子だと思う。研究者としてやっていた方が、彼のためだったのに……。
|