今週から、少しずつ涼しくなって行くらしい。 そう言えば、いつの間にか蝉の鳴き声がしなくなり、夜には秋の虫の声が聞こえるようになっていた。 そして私は、マンション情報を見ては溜息を吐く日々を送っている。 良い中古物件を見付けたのだ。前の土地に。 2人で暮らすには一寸広くてその分高いが買えない額じゃないし、立地は理想的だし、間取りも悪くないし、収納もあるし、窓も多い。 これは欲しい。 但し実際買うとなると、現在の預貯金ではお金が足りないので、どこかから借りなければならないだろう。 銀行から借りるよりは、金利の付かない親から借りる事になりそうだ。 そして多分私は生前分与として踏み倒し、一緒に住む訳でもない妻の親から援助して貰うなんて駄目だと主人は言うだろう。 里帰りする度に私がお小遣い貰って来るのも嫌がる主人だから、きっとその案は却下されるだろうな。 そう言えば、主人はいずれ自分の両親を引き取るつもりでいる。 主人の両親と一緒に暮らすという事なら、あちらにもお金を出して貰ってマンションを買っても良い、という事になるかも知れない。 しかし2人とも現役で働いている。 彼等にとっては殆ど生き甲斐である仕事を取り上げるのは余りに気の毒だし、無理に止めさせて呼び寄せたら一気に痴呆老人になるだろう。 第一、お義父さんもお義母さんも、広いお庭が無いと駄目な人達だった……。 そうすると、将来同居するにしても、マンションは無いかー。
第一、主人の通勤がねー。 今は徒歩10分で通えるけれど、私の希望地のマンションからでは1時間もかかる。 首都圏の人ならそれぐらい当たり前なのだろうけれど、田舎者には無理。 東京と違って、電車が限られているから、逃すと1時間待ちになってしまう。 ひ弱な主人にはかなりの負担だ。 補助が出るとは言え全額では無いから、通勤代もかかるし。
結局、現実的ではないのだ。あのマンションいいなだなんて。 それでも、現物を見てみたいと思う。 もし希望通りの物件じゃなかったら、先の物件みたいに諦めが付くし。 でも見てしまって、もし期待通りの物件で、益々住みたくなったらどうしよう……。
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