天上天下唯我独尊

2008年02月12日(火) 東京くそったれ

私は寒冷地に住んでいる。
氷点下の凍て付いた路面でも、転ばない。主人は転んだけれど。
一寸雪が降っただけで電車が止まり、何人もが転んで病院に担ぎ込まれる東京を、密かに馬鹿にしていた。
それなのに。

雪の無い、氷点下でもない東京で転んじゃったよ。


一週間前、東京に行かないかと母が電話をして来た。
親戚の家に集まるらしい。
急な誘いだったが、仕事も無いし主人の許可も出たので、2泊3日の予定で宿とJRの切符を取った。
そしてこの日、私は東京に降り立った。
冬なのに雨が降っていた。
東京は暖かいなーと思いつつ、駅から徒歩で親戚の家を目指す。
歩くには少し遠いし、雨も降っているし、バスに乗ろうかと思ったが、どこで降りればいいかわからなかったので、そのまま歩き続けた。
しかし、この前訪れてから、もう何年も経っている。
あれ、この道でいいんだっけ?と自信を失くして元来た道を引き返そうとした途端、靴の裏が滑ってバランスを崩した。
私が踵を返したのは、マンホールの真上だったのだ。
雨降りの住宅地で、目撃者はいなかった。
誰にも醜態を晒さずに済んだのは、不幸中の幸いだろう。
お土産と鞄は、数メートル先に吹っ飛んでいた。
よいしょと立ち上がってよく見ると、ストッキングの膝部分に大きな穴が開いていた。
そしてこれまた大きな擦り傷から血が。子供みたい……。
雪道で転んでも、せいぜい尻餅をつく程度で、服を汚したり膝を擦り剥いたりする事は無い。病院に運ばれるなんて、東京人はどんだけ。
濡れたらこんなに滑るような素材でマンホールを作るなんて、管理する東京都を訴えてやろうかと思った。

すぐ近くにドラッグストアがあったので、1番大きな絆創膏と消毒液とコットンを買った。
店の片隅に椅子があったのでそこに座り、買ったばかりの品物をさっさと開封して、1人で手当てをした。マキロンが沁みる。
誰もいなかったが、ストッキングを脱いでいる途中で誰かが来ては困るので、膝部分でぐるりとストッキングを破り捨てた。
片方だけではヘンなので、もう片方も膝から破り捨てた。
東京は暖かいと思っていたが、素足になったら、途端に寒くなった。

お土産の状態が心配だったが、転んだ時にボウリングの玉のように前方に投げ出した格好になったのが良かったらしく、酒瓶は無事だった。
しかし、間違って、主人に勧められたのとは別のお酒を買ってしまった私。
次回はオススメ最高級を買って行くよ……いや、送るよ。
雨の中、あんなに重たい物を持ち歩くのは辛い。もう転びたくないし。


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