天上天下唯我独尊

2008年02月13日(水) 祝い酒

今回の上京の目的は、従姉の婚約祝いである。
以前私の実家に遊びに来た時には、父と共通の趣味を持つ彼女が、父の晩酌の相手をしてくれた。
実の娘である私は日本酒を嗜まないし、酔っ払いが嫌いなので飲んでいる父には近寄らないし、妹は当時未成年だったので、父は大層喜んでいた。
その印象が強かったので、婚約祝いに日本酒を選んだのである。
もし好みじゃなくても、料理酒に使えるからいいかと思って選んだのだが、叔父と従姉と婚約者の3人で、あっという間に720ml瓶を空けてくれた。
土産物を喜んで貰えるのは有難い事が、よーし、もう1本!て……おじさん飲み過ぎですよ。

叔父は、婚約者からオペラのCDを贈られたらしい。
そこには一寸した行き違いがあったようで、叔父はそんなにオペラは好きじゃないんだけれど……という感じだったので、どれどれと見せて貰った。
なんと、マリア・カラスのCDセットである。
曲目を調べると、案の定、あの名曲が入っていた。
「凄いじゃん、マリア・カラスだよ。私も買ったけれど、寄せ集めみたいなCDでイマイチだったんだよね。聴いてもいい?」
と言って、早速かけて貰った。
やはり、叔父は良いCDを貰ったようで、私のとは全然違う。欲しくなってしまった。
「あ、この曲。日本語に聞こえるんだよ」
曲がカスタ・ディーバにかわり、さびに差し掛かる直前で、全員に注意を促した。
わかるかな〜?と思って様子を見ていると、叔母が隣りで肩を震わせている。
「あ、おばさん、わかった?」
「うん……なんか、いぼ痔って聞こえたんだけれど……シオンちゃん、なんでこんな……」
叔母は、エプロンで顔を覆ってしまったが、どこでそんな変な物を仕入れて来るんだ、と言いたかったのであろう。
仕入先は、全部主人ですよ……。

他にも叔母は、私の発言にいちいち受けていた。
母と私が、妹の発言にいちいち受けるのと同じなのだろう、多分。

その後は、マリア・カラスはダイエットのためにサナダムシを飲んだという話になり、その流れで、従姉と婚約者は翌日、目黒寄生虫館に行ったようである。
勿論、勧めたのは私だ。

母は叔母夫婦の家に泊まったが、私はホテルを取ったので、従姉が駅まで送ってくれた。
なんだか色々と情報が錯綜していたようだが、落ち着くべき所に落ち着いたようで安心した。
雨降って地固まる、とは一寸違うだろうか。でもそんな感じがする。
それにしても、婚約者が10歳近く年上なのには吃驚した。
やはり、ジジ専の家系なのだろうか……流石にその単語を発するのは気が引けたので、
「オッサン好きなのね、私達って」
と言うに留めたが。
10年振りにあった従姉だが、血の繋がりを感じた。


 < 過去  INDEX  未来 >


春 紫苑 [MAIL]

My追加