天上天下唯我独尊

2007年08月18日(土) 痛い感動

子供の頃は、手塚治虫のアニメが楽しみで、24時間テレビは毎年見ていたように思う。
確か、「ブレーメン4」とかいうのがあった。因みに「ブレーメン5」だと、佐々木淳子の漫画である。
内容は殆ど忘れてしまった。
勿論面白かったのだと思うが、加えて曲が良かった。
今検索したら、ネットでも見られるようだ。
ネットで動画を買うのは、やり方がわからないので、出来ればリアルのビデオ屋さんで借りたい。

今では民法各社で24時間テレビの真似事をやっているが、我が家では全くと言っていいほど見ない。
手塚アニメが無くなってしまったからというだけではない。
司会者の異様なテンションにも付いて行けないし、何より子供の頃には見えていなかった、或いは見ていなかった部分が、流石にこの歳になると見えて来るからだ。
私のような慈善事業に否定的な人間が見てしまうと、うへえという気分になるのだ。
いや、慈善事業を完全否定はしないが、24時間テレビは何か違うのだ。
どうしても、障害者へのお金を集めるために、障害者を見世物にしているような印象を受けてしまう。

2、3年前に、他に面白い番組が無かったからか、何故かこの番組を見てしまった事がある。
障害者の青年が、和太鼓の練習をしていた。
彼には、付き合っている若い健常者の女性がいて、彼女のために演奏をしたいのだと言う。
彼は彼女との結婚の事も考えていて、男性として女性に責任を持とうというその姿勢は当然だし、立派だと思った。
しかしその一方の彼女は、結婚など全く考えていない様子。実に軽い。
そして彼女の父親は、障害者との結婚は一寸……と、賛成の反対である。まあ、気持ちは解る。
だが、それにしても、この温度差は何。
彼の真摯な姿勢は素晴らしいが、太鼓を叩いたところで、一体何になるのだろう。
と私は、すっかり感動の応援モードに突入している会場の様子を、覚めた目で見ていたのだった。

同じ番組に、聾の女性が登場していた。
彼女は、歌を歌いたいと言う。
しかし耳が聞こえないのでは、音程を取れない。
それでも一生懸命練習する女性。
そして本番。
とても一生懸命に歌っていた。
しかし、聴くに堪えない。実に痛々しく見えてしまった。

挑戦する姿は美しい。
何かに向かって努力する彼等に、感動を覚える人もいるのだろう。
でも、この番組には何か異質なものを私は感じるのだ。


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春 紫苑 [MAIL]

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