欲しい物があって、電気店を駆けずり回った。 と言うと多少大袈裟だが、今日中に欲しい!と思ったのだ。 何故こうも計画性が無いのか、私は。
大型電気店を2軒回っても欲しい物に会えなかったので、3軒目にゴー。 ここは近隣では最も大きい店だ。 つまり、ここに無ければもうアウトという事である。 暫くウロウロして、やっと目当てのコーナーに辿り着いた。 何種類かあるが、どれが良いのか判らない……。 どうしようかなと、店員を探して周囲を見渡すと、隣の携帯電話売り場で、女性店員同士がお喋りしていた。随分緩い店舗である。 多分、彼女等は携帯専門だ。私が買いたい物について訊いたところで、欲しい回答は得られなさそうである。 店員は何故、何も買う気が無い時に声をかけてくるくせに、こちらが訊きたい時に限っていないのだろう。 時間も無いし、仕方が無いので、レジまで行って店員を捕まえた。 対応してくれたのは、若い男の子だった。 コーナーまで来て貰い、 「こういうのが欲しいのですが、この中ではどれが1番安くて使い易いですか?」 と訊くと、う〜んと言いながら商品脇の値札と説明書きを見て、 「これですかねえ」 と中の1つを指し示した。 ……つまり彼は、そこにある情報を見て比較しただけであり、それぐらいは私でも出来るんだが。 馬鹿にされたのかね、私は。 しかも彼が示した物の、1つ隣りの奴が1番安かったんだが。 店員なんだから、もっとちゃんと商品説明とかしてくれるかと期待していたんだが、そこまで専門的な知識とアドバイスを求めるこっちの方が間違っていたのかね。 しかしもう、他の店に行っている暇も無ければ、気力も無い。お昼を過ぎていたので、私はいい加減腹が減っていた。 店員が示したのとは違う、1番安い商品を手に、レジへ行って清算した。
駐車場で車に乗り込み、何故か知らないが、包みを開けてみようと思った。 どんな物か、早く見てみたかったのかも知れない。 箱を開けると、開け方が悪かったようで、部品がごとごとと膝の上に落ちた。 しかし、肝心の本体が無い。 落とした?と思って周囲を探したが、無い。座席の下にも無い。 き、消えた?? 空箱を買って帰る訳にも行かないので、部品を元に戻して、店内に取って返した。 レジに直行すると、さっきの店員がいたので、事情を話して箱を渡した。 あれ?入っていませんでしたか?とか何とか言いながら、彼は箱を開けたが、本体は入っていない。 少々お待ち下さい、と言われて暫くすると、彼は別の箱を持って現れた。 今度はちゃんと、レジで箱の中を確認した。本体は入っている。 店員は私に中身入りの箱を渡し、空箱をゆっくりと綺麗に仕舞ってから、レシートを返してくれた。 ……君、それって順番違うんでないかい? 空箱の始末は、客が帰ってからでも良かろう?
責任者呼べやゴラ! と言おうかどうしようか迷ったが、腹が減っては戦は出来ぬ。 家に帰って、昼御飯を食べているうちに、段々と怒りが湧いて来たのだった。
帰宅した主人にその話をすると、 「そういう時はね、同じ人に言ったら、揉み消されちゃうでしょ? だから空箱を持って、別の店員に、『さっきあの人がレジ打ってくれたんですが』って言えばいいんだよ」 と目から鱗の回答をくれた。 なるほどね〜〜〜! 流石、ずっと社会人をやっている人は違うわ。頭いいなあ!と思った。私が馬鹿なだけかも知れないけれど。 しかし、気になる事がもう1つ。 もしかして私、中身だけ抜いて空箱を返したと疑われていないか?
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