私が細々とウェブ日記を書いていると言う事を、主人は知っている。 興味も無いようだし、見せてと言われた事も無いので、彼にはURLどころか内容も教えていない。 いちいち検閲が入らない方が、私も気楽に思う存分書けるし。 見せたら怒られそうな事も、沢山書いてあるしな(笑)。
ある日、彼にこう訊かれた。 「シオンは、掲示板は付けていないの?」 「付けないよ〜。お返事付けるのが面倒臭いもん☆」 「そうだな、シオンは面倒臭がりだからな……」 そう言えば、彼はその昔、自分のサイトを持っていたのだった。 結婚してからすぐに、趣味より奥さんの方が大事だからと言って閉じてしまったっけ。 私は別に続けてもいいよと言ったのだけれど、PCに向かっているより、シオンと話している方が楽しいと言ってくれた。 それが今では、鬱陶しがられているような気がするが。 「貴方は掲示板を持っていたよね。管理が大変じゃなかった? どう返事していいのか困るような書き込みとかさ」 「ああ、そういうのあるある。適当にコメント付けたけれどね」 「それよ。私はその適当というのが苦手なの。宣伝コメントの削除とか、管理も大変だし、だから掲示板は付けないのよ。掲示板って、メールよりも塀と言うか、ハードルが低いでしょ? こう言っては悪いけれど、しょうもない書き込みの返事に費やす労力と時間があったら、私は自分の好きな文章を綴る方にそれを注ぎたいなあ。メールを貰う分には一向に構わないのよ。それだけ私に何か言いたい事があるという事なのだから、それは嬉しいし、ちゃんとお返事するもん。尤も偶にしか来ないけれどさ。それに掲示板って、どうしても管理人と同じ考えの人ばっかり集まっちゃうじゃない。類は友を呼んで、排他的になる、それが好きじゃないのよ」 と私が言うと、彼はプッと笑った。 「何よ」 「いや、だってシオンは、『私と違う考えの人間は許さなくてよキィ!』な人間なのに、そんな事を言うなんて」 なんかムカついた。
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