天上天下唯我独尊

2007年03月22日(木) 母の慧眼

2007年03月13日〔火〕梅酒の梅
2007年03月14日〔水〕高校野球なんて要らない
 追加。

実家にて。
母の視線が、私のほわ〜んな鞄に止まったのがわかった。
まずい、と思ったが、既に遅かった。
「あら、いい鞄ね、それ」
「そ、そう?」
何を言われるかわかったものじゃないから、なるべく母には見せたくなかったのに。(それでも実家に持って来てしまったのは、やはり気に入っていたから)
「素敵な鞄ね。高かったんじゃないの?」
値段がばれたら、そんな高い物を亭主に買わせるなんて!と叱られる、と思った。
真実を伏せておかなければ。
「んー、そんなに高いって程では。幾らだと思う?」
と言うのが、真実を伏せるのが下手な私には精一杯だった。
母は鞄をじっと見て、
「そうねえ……10万円。7万〜10万ってところかしら」
と言った。
真実どころか、母がずばり言い当ててしまった(店頭販売価格は10万円、私の購入価格は7万円)驚きを隠せない私は、
「凄い! どうしてわかったの? 値札も付いていないのに!」
と思わず興奮してしまった。
「大体見ればわかるわよ。良かったわね、そんないい物を買って貰えるなんて。○○さんに感謝しなきゃねえ」
高い買い物を叱られるどころか、私が結婚相手に大事にして貰っていると判って、母は安心したようである。

そんな母だが、私が履いて来たほわ〜んなブーツを見て、溜め息を吐いた。
「また、あんたって子は……
右と左と違う靴を履いて幼稚園に行こうとした頃と変わってないのねえ
親は何故か、子供がすっかり忘れてしまったような子供時代の事を良く覚えていて、事ある毎にそれを持ち出して来る。
幼稚園の頃のある朝、私が左右色の違う靴を履いて行こうとしたのは、それが変わっていてお洒落に思えたからで、それに気付いた母親が慌てて玄関から私の靴を持って来た時には、私の企みを親に阻止されて軽い落胆を覚えたものだ。
しかしその出来事をこのブーツに結び付けるとは。
確かに田舎で履いたらかなり目立つようなブーツだが、そこまでがっかりされるとは心外だ!


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春 紫苑 [MAIL]

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