雌猿は発情すると、お尻が赤くなる。 猿から進化した人間は、お尻の代わりに唇に紅を引き、雄を誘惑するのだという説がある。 本当かどうか知らないが。
主人がこっそりお菓子をつまみ食いして、ポロポロと床に零して痕跡を残していたので私が叱ると、彼はぷぅ〜と膨れた。 その様子が子供みたいだったので、 「ぷぷっ、可愛いなあ。ほっぺが膨らんで、お尻みたいよ。尖った口も肛門みたいだし。あっ、そう言えば口の周りにはお髭が生えてて、もじゃもじゃにしたら益々肛門みたいになるわね」 と私が笑うと、彼は 「酷い。亭主の口を肛門扱いするとは怪しからん」 と憤慨していた。
翌日、帰宅した彼におかえりのちゅーをしようとすると、 「シオン、何か匂うよ」 とくんくんされた。 「昨夜は頭洗っていないからかな(毎日洗うと禿げるため、洗髪は1日置き)。そんなに臭い?」 と自分でもくんくんしてみたが、自分の匂いは自分ではわからぬものだ。 主人は私の頭をくんくんすると、 「違う、頭じゃない。もっとこう……」 「うんこ臭い?」 「まあ、それに近いかな」 ガーン……別にトイレを我慢している訳でもないのに、何故。 はっ、そう言えば。 「出てないの?」 と、心配そうに訊く彼。 「ううん、出たは出たけれど、調子が良い訳ではない。それでかなあ」 はっ、もしかして。 「口がうんこ臭いのは、貴方が呪いをかけたのね? 私が昨日、貴方の口を肛門みたいと笑ったから!」 「ふふふ、やっと気付いたか。人を呪わば穴2つ」(意味が違う気が) 早く解いて下さい、このヘンな呪い。
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