お天気も悪くないし、今日こそ自転車で買い物に行こう。 そう思った私は、半日仕事から帰ってゴロゴロしているダーリンに 「今から買い物行って来るけれど、何か欲しい物ある?」 と声をかけた。 すると、スナック菓子が食べたいと言う。 「こないだはチリペッパー食べたから、今度は胡椒味がいいな」 「わかった。胡椒味ね……ええと、GABANだっけ?」 と私が言った途端、彼は笑い出した。 「ギャバンって何だよ、ギャバンって」 「え……そんな名前じゃなかったっけ?」 「ギャバだろ、ギャバ。ギャバン、シャリバンって言ったら、宇宙刑事だろ〜。全くシオンは面白いなあ」 そう言って、彼は益々楽しそうに笑うのだった。 あれ〜そうだっけ?? 確か、GABANって書いてあったような……違ったかなあ。 メモに書いた最後のNを消して、私はGABAという文字を見詰めた。 何だか違和感があるような気がするけれど、ダーリンは自信満々だ。 首を傾げながら私は出かけた。
「ただいま〜」 帰宅して居間に入ると、私は 「ありましたよ。多分これの事だと思うんだけれど」 と言って、買って来たお菓子をテーブルの上に載せた。
「でもこれ、どう見ても、GABANって書いてあるのよねえ。貴方は違うって仰ったけれど、本当にこれでいいのか私、自信無くってえ」 と私が意地悪げに彼の顔を覗き込みながら言うと、 「うん、仕方ないからこれで勘弁してやるっ」 と彼はそっぽを向いてしまった。 「一寸! さっきは宇宙刑事だのなんだの言って、散々人の事馬鹿にしておいてその態度は何よ? 私に何か言う事があるんじゃないの!?」 彼の頭を両手で鷲摑みにして、無理矢理こっちを向けさせると、彼は上目遣いをして言った。
「エヘ♪」
かっ…… 「カワイイ〜〜〜!! 萌えー!!」 思わず私が叫ぶと、彼に止められた。 「声がでかい! ボラギノールのCMか!?」 「ずるいよ貴方! 一寸可愛い振りをすれば、私の怒る気が失せるって判っててやってるんでしょ!」 「煩いから叫ばないでくれよ〜。わかった僕が悪かったよ。ハイハイごめんごめん」 初めから素直にそうやって謝りゃいいんだよ!
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