天上天下唯我独尊

2006年02月23日(木) ウールの褌

寒さが緩む前のある日、百貨店に出掛けた。
ショッピングと言うよりは、ウィンドウ・ショッピングだが。
ぷらぷらと歩き回る間も、エスカレーターに乗っている間も……脚と脚の間に違和感を感じる。
何だろう、いつものやつが売り切れのため買った他社のナプキンを着けているからだろうか。
そう言えばいつものやつより大分厚みがあったもんなあ。
それでこんなにもぞもぞするのかと勝手に納得していた。
しかしエスカレーターを降りる時にふと目を落とすと、歩いているうちに静電気が発生したのか、なんと私はマフラーの長い方の端を股間に巻き込んでいたのだった。
マフラーを褌って……。
慌ててマフラーを引っ張って首にかけ直したが、長いコートに隠れて誰にも見られなかった事を必死に願う。
余りの恥ずかしさに、何も買わずにとっとと店を後にしたのは言うまでもない。
道理でもぞもぞする筈だよ。

その話をダーリンにしたら、とっっても冷たい目で見られた……何故笑い飛ばして欲しい時に笑い飛ばしてくれない。
「そういや昔、『ウールおじさん』ていたな」
だあれそれ、と私が訊くと、
「『触ってごらん、ウールだよ』って、知ってる?」
「知らない」
という私に解説してくれたところによると、昔の国際羊毛事務局(現ウールマーク・カンパニー)のCMにそういう台詞があって、当時とても流行したらしい。
「僕の学校の近くに変質者が出没したんだけど、コートの中は素っ裸、ってやつね。その時に『触ってごらん、ウールだよ』って言うんだって」
「それで『ウールおじさん』か……ウールには違いないけれど、嫌だなあ。それで貴方、触ってみたの?」
「いや、僕は遭遇した事ないから。女の子の前にしか出て来ないでしょ」
それもそうか。
幾らクリーニング済みでも、触りたくはないよな。


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