天上天下唯我独尊

2006年02月20日(月) 母の願い

実家の母から電話があった。
用件は、関西に住む母の叔母の見舞いに行こうという話だったのだが、
「あ、それから1つお願いがあるんだけれど」
と母が言うので何かと思うと、
「サラ金からだけは、お金を借りないでね」
だと……どんなお願いだ。
サラ金なんて、頼まれたって借りたくありませんが。

母の話によると、実家の近所の人がサラ金の返済で大変らしい。
家族構成は、老夫婦と若夫婦と孫2人。
そこの若奥さんがサラ金に手を出して返済が焦げ付き、家族の知るところとなってしまった。
しかもその奥さん、なんと自分の勤務先のお金にまで手を付けていたとかで、老夫婦や夫がその分を負担する事で、何とか刑事告訴は勘弁して貰ったそうな。
家計は火の車、長男は専門学校を中退する破目になり、家族で若奥さんの拵えた借金を現在返済中との事である。

「うわー、バッカでえ」
私も知っている人の事だが、思わずそう口から出てしまった。
フジテレビ系列で毎朝やっている「こたえてちょーだい!」(言っちゃあ悪いが最下層的な、頭の足りなそうな人々の体験談によって構成される番組。見ていると胸がムカムカして来る)ではよくある話だが、身近な所にもあるとは驚いた。
「お父さんは『うちの子達は大丈夫だ』って仰るんだけれど、心配になっちゃって」
ヘンな所で心配性の母である。
「私は大丈夫よ。亭主の稼ぎで充分やって行けるし、そんなに贅沢しなけりゃ困る事はないもの。それに借りるならサラ金に行かずに、まずお父さんお母さんに借りるから」
「貸してあげるわよ、億は無理だけど。ドビーちゃん(妹)も大丈夫かしら」
「あの子もサラ金に手を出すほど馬鹿じゃないでしょ。そんなに心配すると禿げるわよ、お母さん。で、何故若奥さんは借金なんてしたのかね。パチンコでもやってたの?」
と私は訊いた。
主婦がサラ金に走るパターンとして考えられるのは、財政難とギャンブルである。
あそこの家は、老夫婦も若夫婦も大人は全員働いている。
お金が無くてサラ金に走るというのは考え難い。
という事は、パチンコ中毒だろうと私は推測したのだ。
「パチンコはやっていなかったみたいよ。あそこの若奥さん、着飾るのが好きでね、ブランド物に注ぎ込んだんじゃないのかしら。それに人に物を上げるのが好きな人だったから、それで色々買っていたみたいよ」
「そっちかあ。要するに分不相応の見栄っ張りな訳ね。あの家も、とんでもない嫁を貰ったって思っているんじゃないの」
私ったら、知っている人に対して酷い言い様である。
「貴女も気を付けてよ。とんでもない嫁だって言われないようにね」
と母。
それはもう思われているから大丈夫、とは流石に言えなかった。


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