天上天下唯我独尊

2006年01月19日(木) 光合堀菌リターンズ

別のホリエモンの話。
こっちは強制捜査ではなく、裁判である。
昨年夏に糖尿病で死亡した女子中学生の両親が、次世紀ファーム研究所の堀洋八郎代表に対する損害賠償請求訴訟を起こしたのだ。

事件当時、少女の素性は伏せられていたが、今回の提訴で、両親は娘の名前と写真を公表した。
少女の名はマサコ。
糖尿病だが成人病とは違うので決して太ってはいないし、なかなか可愛い子だ。
それなのに両親は、自分達の顔も名前も伏せたまま。
私はこの親に対して、すっきりしないものを感じた。
両親にはこれからの人生があるし、現実の生活があるから仕方ないのかも知れない。
可愛い顔をした娘の写真を公表すれば、その分世間の同情も集まるだろう。
しかし自分達は顔も名前も隠し、死んだ娘だけを世間の目に晒すというその姿勢に、私の同情は半減してしまった。

民間療法、特に宗教がらみのものは、実に難しい問題である。
民間療法全てがインチキではなく、実際に効果があったという人もいる。
しかし似たような症状の全ての人に同じものが効くとは限らない。
何故この科学の時代に、それでも人は民間療法に頼るのだろうか。
現在、医療技術は格段に進んだが、それでも万能ではない。
この少女はインシュリン注射が無いと生きて行けない体だった。
今の医療では、彼女を注射無しの健康体には出来ない。
しかし彼女は、注射無しでも暮らせる普通の健康体になりたかった。
だから真光元に頼ったのだが、不幸な事にそれは彼女を救えるものではなかった。
彼女に真光元を勧めたのは母親で、母親は雑誌か何かを見て真光元を知り、その講演会に参加して相談した事から、真光元神社に通うようになったらしい。
堀代表はどうか知らないが、彼女の母親も他の信者も、誰もこの少女を死なせようという意思は無かっただろう。
それでも少女は、インシュリン注射をしなかったがために死んでしまった。
責任は誰に?

堀代表は勿論悪いが、怪しい健康食品に傾倒する妻を見て、夫は一体何をしていたのだろう。
訴状で、少女の父親は、少女が死んで病院に運ばれるまで登場しない。
娘の病気について、両親できちんと相談していれば、悲劇は避けられたのではないだろうか。
それは当の両親が1番悔いているだろうし、遣り場の無い感情の矛先を次世紀ファームにぶつけるのも理解出来る。
だが、やはり親の責任も大きいと私は思うのだ。
提訴の報告を聞いて、堀代表は、
「何を言うとるのか、この糞馬鹿が! どちらが恥をかくのかやってみればいい」
と言った。
両親にしても、恥は覚悟の上での提訴なのだろう。
提訴する事によってこの事件の悲惨さを再び世間に知らしめ、新興宗教がらみの同類の事案を防ぐ事になれば、提訴も社会的に役に立つだろう。

親も半分は気の毒だが、1番気の毒なのはこの少女だ。
彼女はあの世で親を恨んでいるだろうか。


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