駅伝は見ない。 「自分が走るの嫌いだから、他人が走っているのを見るのも、苦しそうで嫌なんだよね」 と言う主人は、信号が点滅を始めた交差点を走るのすら厭う。 そうか、私が駅伝やマラソンを見たいと思わないのも、きっとそれなんだ。
面白そうなテレビ番組が無いので、実家から送って貰った「宮廷女官チャングムの誓い」のビデオを鑑賞する。 場所は韓国だが宮中の話なので、「大奥」シリーズに通ずる理不尽さに歯痒い思いがする。 結局あの時代には、女性や身分の低い者の人権など無かったのだ。 尤も、為政者が馬鹿でヘタレだと下々が苦労する構造というのは、現在でも同じか。 このドラマ、ドラマとしては面白いのだが、ぇえ?と思うような場面が出て来るので戸惑ってしまう。 16世紀初めの朝鮮半島を舞台としたサクセス・ストーリーなのだが、医女(看護婦みたいなものか?)のチャングムが天然痘を治していた……種痘の発明は1796年のイギリスだが、種痘は飽くまで予防法である。 東洋医学で天然痘を自然治癒させるというのはあり得るのかも知れないが、それで治るんならここまで種痘発明者ジェンナーが有名になっていたかどうか。 しかし、16世紀に帝王切開ってどうなのよ? あり得るの? 衛生的にかなり問題があるし、よっぽど体力のある妊婦じゃないと無理なんじゃ……。 もうここまで来ると、流石韓国、何でもありだなとしか言いようが無い。 でもね、最後に切って貼る西洋医学に傾いて行くのは、観ていて何だか虚しかった。
昼間には初詣に行って、何も買わなかったけれど初売りも覗いて来た。 夜になって主人が肩と腰が痛いと訴えたので、日中人ごみに行ったし疲れたからかと思ったが、何か違うと言う。 どうやら、神社で拾って来ちゃった様子。 でも神社って、一応聖地なのではと思うのだが、特に初詣で色々な人がお願い事をする所だし、煩悩渦巻く場所なのかも知れない。 「シオンは大丈夫?」 と訊かれたので、 「うん、平気。何とも無いよ」 と答えたが、主人によると、私は悪いものに取り憑かれ易いのだそうで……ヒィ。 主人にはそれが見えるのではなく、感じるのだそうだ。 「あ、来たなって判ると、こっち来ないでねって、取ってポイしてるからシオンは大丈夫だよ」 取ってポイって……そんな簡単なものなのかい。 「私のは判るのに、自分に来るのは判らないの?」 「うん」 「じゃあ私が取ってポイしてあげる。どうしたらいい?」 と訊いてみたが、生憎私は何も感じないので、取って貰うだけで彼のを取ってあげる事は出来ないらしい。 何だか、自分だけ得してるみたいで悪いなあ。 その代わりと言っちゃあなんだが、主人には、ロイヒつぼ膏を貼ってあげた。
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