久し振りの里帰り。 主人を置いて行くのは些か心配だが、今回の行き先は国内だし、いつでも電話出来るから、大丈夫だろう。 去年の沖縄出張で主人が使った、柄が伸びる車輪付き旅行鞄を、初めて使ってみた。 いいねコレ! 楽しいのでバス停までゴロゴロして行こうかと思ったが、外には雪が積もっていてゴロゴロ出来ず……仕方なく、駅まではタクシーで行く事になった。
実家へは、電車とバスを乗り継いで行く。 長いトンネルを抜けると、
吹雪だった……大丈夫か、バス! 4車線ある筈の高速道路が、対面通行になってるし。流石山の中。 暖房は入っている筈なのに、窓硝子越しに冷気が伝わって来る。 寒さで膀胱が収縮したが、バスのトイレには行きたくないので我慢。 膀胱は人間の体のうちで1番伸び縮みするって言うから、多少の事なら大丈夫さ!
バス停には母が車で迎えに来てくれていたが、乗って暫くすると私は後悔した。 怖いのだ、母の運転が。 私が運転を代われば良かった……以前はそんな事無かったのに、最近親の運転が怖い。 両親ももう年だし、免許を剥奪した方が良いのだろうが、本人達はそれでは生活に支障を来たすと言って全く取り合わない。 タクシー生活かバス生活に切り替えて欲しいのだが、遠方に嫁いでしまった娘としては、これ以上強く言う事が出来ない。 何かあってからでは遅いのだから、早く自主的に何とかして欲しい……。
無事に実家に辿り着くと、私はすぐさまトイレに駆け込んだ。 しかし、うちのトイレは……低い! ここで暮らしているうちは気にならなかったが、便座がチビ仕様なのだ。 台所の流しも低くて、洗い物をすると腰を痛めそうだ。 というのも、家を建てた時の大工さんが背の低い人で、 「低過ぎませんか?」 と母が言ったものの、 「そんな事は無い。こんなもんだよ」 一蹴されてしまい、母もそれ以上は強く言えなかったのだと言う。 「そんな馬鹿な事あるか、こっちが金出して自分の住む家を建ててるってのに、何故そこで引っ込める!」 私はそれを聞いて酷く怒ったが、建ててしまった物は仕方ない。 賠償か建て直しを要求したら、と言ったものの、田舎者なのでそこまでしなくても良いと言う……私には理解出来ないがな。 そうこうしているうちに時効は成立して現在に至る。 そろそろあちこちにガタが来ているし、今流行のリフォームでもする?という話もちらほら出ているが、実現に向けての動きは全く無いので、多分暫くこのままなのだろう。 私としては、里帰りの度に苦しむこの家を何とかして欲しいと思うのだが……何なんだろうね、この鼻炎の原因は。 今になると、私のアトピーの原因もこの家にあったのではと疑ってしまう。 しかし主人と私だけなのだ、この家に来ると体調を崩すのは。 もしかして霊障……いや、それは無いな。 主人の霊感アンテナは、ここでは別に反応しないから。
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