12月に入ると、街中だけでなく住宅街までが華やかになる。 クリスマスの電飾だ。 昔の日記と重複するが、言わせて貰う。
馬鹿じゃねえの。
商店ならある程度は仕方無いとは思うが、一般家庭であんなにキラキラピカピカさせて、一体どうするつもりか。防犯か? NYではロックフェラー・センター前にて巨大なクリスマス・ツリーに明かりが点され、神戸ではルミナリエ、東京ではミレナリオとか言う電気の無駄遣いが行われている。 アメリカはしょうがない。 何たって京都議定書にそっぽを向くような、協調性の無さにかけては北朝鮮と並ぶ、極めて自己中心的な国なのだから。 他所のお家の支払いが嵩もうがそれで破産しようが、勿論そんな事は私には関係ない。 しかし、電気や水というのは、公共性の高いものなのだ。 「自分さえ良ければ」でどんどん使ったら電力不足や水不足を招き、全体に迷惑がかかる。 しかも今は地球温暖化の問題がこれだけ言われているというのに、それでも理解しない無神経さには、怒りすら覚える。
夜、ダーリンと買い物に出掛けた帰り、車で近所の住宅街を通り抜けた。 「この辺りに、青いキノコがあるのよ〜」 と私は話しかけた。 「青いキノコ?」 「うん。丸く刈り込んだお庭の木に、青い電飾を点けているお家があってね。暗闇に青いキノコが浮かんでいるみたいで、ドキッとしたわ。確かこの辺りだと思うんだけれど」 「でも、来る時も同じ道だったけれど、見なかったよ?」 「多分ね、来る時はお家の死角だったんだと思うの。昨日も一昨日もこっちからこの道を通ったけれど、見落とさなかったもん。貴方も見たら笑うわよ〜」 しかし、ダーリンはキノコでは笑わなかった。 「まだかなまだかな」と言っているうちに、アパートに到着してしまったのだ……。 「シオン、家に着いちゃったよ。キノコなんて無かったじゃん」 「お、おかしいな」 と焦る私。 「またシオンは、幻でも見たんだろ」 「違うもん、昨日も一昨日も、絶対あったんだってば!」 とムキになる私に、彼は 「判った判った。そうだね、シオンが言うからあったんだよ。でも消えちゃったんだねキノコ」 と棒読みで、まるで小さい駄々っ子を宥めるような言い方をした。 「本当だってば! 判った、きっと住民が自分でもあのキノコをおかしいと悟って撤去したんだわ!」 私の熱弁にも拘らず、彼は相変わらず棒読み口調だった。 「そうだね、ハイハイ。だからそんなアパート中に響くような大声で主張しなくてもいいから」 またこの人は私を馬鹿にして……信じてくれよう!
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