天上天下唯我独尊

2005年10月11日(火) 良い夢と悪い夢

巨大なクマのぬいぐるみによる、大量連続殺人が発生した。
しかし、その姿を見た者は1人もいない。
何故ならば、見た者は必ず殺されるからだ……。

クマが近くまで来ている。
教室には大勢の人がいるが、皆にそれを報せたら途端にパニックになるのは目に見えている。
そうなったら、誰も助からないだろう。
私は1番仲の良い友人にだけその事を伝え、2人でこっそりその場を抜け出し、全力で走り去った。
暫くして戻って来た時には、もうクマさんの姿は無く、現場は血の海だった。
その中に、恋人がいた。
正義感の強い人だった。
私が危険を報せれば、彼は必ずその場にいた全員で逃げる事を考えただろう。
しかしそんな余裕は無かった。
だから私は逃げたのだ。彼を見殺しにして。
「ごめんね」
彼の亡骸に呼び掛け、見開いたままの瞼をそっと閉じてやった。

目覚めた時の感想は、「嗚呼、夢で良かった」。
そして酷く疲れていた。
どんな意味の夢なのか知らないが、兎に角怖かった。

夜、お布団に入って、その夢を思い出した。
「ねえねえ、今朝夢を見たの。凄く怖かったよ〜」
とダーリンに引っ付くと、彼はいい子いい子してくれた。
「よしよし、じゃあ幸せな夢を見られるように、おまじないをかけてあげよう。『お金お金お金』〜」
「……何ソレ」
「だって、シオンお金好きでしょ。宝籤の当たる夢とか、嬉しくない?」
「そりゃ現実に当たったら嬉しいよ。でもね、夢だと却って目覚めた時にがっかりすると思う」
と私が反論すると、彼は一瞬考え込んだ。
「よし判った。じゃあ『連続殺人連続殺人連続殺人』〜」
「いや、それは今朝見たから。全然いい夢じゃなかったし」
「そうか。じゃあ、『他人の不幸他人の不幸他人の不幸』〜」
それが私にとっての幸せって……貴方何か勘違いしていませんか!?


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