天上天下唯我独尊

2005年09月17日(土) 女王の教室

最終回は90分拡大スペシャル。
「悪魔のような鬼教師に小学6年の子供たちが戦いを挑んだ、一年間の記録」という触れ込みだったが、結局鬼でも悪魔でもなく、自分の信念を貫き通した女教師と、彼女によって徐々に成長して行く子供達の物語だった。
優しさの欠片も感じられない彼女の言動に恐怖と不信感しか抱いていなかった子供達と一緒に、大抵の視聴者も彼女に対する見方が変わったのではないだろうか。

物事には裏がある。
彼女はそれを子供達に教えようとしていた訳だが、人によっては子供達に見せるのは好ましくないと言い、決して少なくない数の一部の視聴者は好ましくないと考えたのだろう、TV局に抗議した。
ドラマの途中、その抗議に配慮したらしい小細工のようなもの(実は優しい先生だったのよという夢や、エンディングに使われた撮影終了後の風景)が覗えたのは興醒めだった。
私はそこまでチェックしていなかったが、聞いたところによれば、何回目からか、「この番組は〜の提供でお送りいたします」というスポンサーのお知らせが出て来なくなったという。
つまり、スポンサーにまで文句を言う暇人がいたらしいという事だ。

世の中には裏がある。
世間に一歩出れば、汚い事や恐ろしい事が口を開けて待っているのだ。
TV局やスポンサーに抗議した人々は、表面的にしか物事を見る事が出来ない人々なのではないだろうか。
子供達を純粋培養したい親心は解るが、少なくとも、今の世の中は温室ではない。
いずれ子供は親元から飛び立つ。
勉強だけが教育ではない。
世の中の荒波の中でも生きて行ける逞しさや賢さを身に着ける事も、立派な教育なのだ。
「こんな酷い内容、子供に見せたくありません」
と言うのも解るが、詰まらぬ恋愛ドラマの方がよっぽど害悪である。

人間にも裏がある。
彼女の裏に隠された真意が、回を重ねる毎に明らかになって行くのが、私はとても楽しみだった。
最終回で彼女の実態が明かされたのだが、いやあ普通の教師はあそこまで出来ないだろう。
子供達に対する態度も仕打ちも裏のサポートも。
そりゃ過労で倒れるわ。
家庭を持っていたら絶対出来ないだろうな。
そして、これは結構危険な教育方法だ。
彼女の奥底には子供達に対する愛情があったとは思うが、それは表面からは非常に見え辛いものだった。
そして愛情は往々にして、与える側ではなく受け取る側の問題だったりする。
どんなに愛情をもって接しても、それが受け手に伝わらなければ、教育の意味が無いのだ。
彼女は偶々受け持った学級の中にそれを見抜いてくれる子供がいたから最後には「良い先生」だと理解して貰えたが、大抵の場合、「悪魔のような鬼教師」で終わってしまう。
尤も彼女は、他人の評価など全く意に介さず、それでも己の信じた道を突き進むだろうが。

初回こそ見逃したものの、私が今季唯一しっかり観た地上波ドラマであった。
ただ1つ不満なのは、最後にお母さんが働きに出てしまった事。
ある程度子供に手がかからなくなったし、外で働くのは一向構わないのだが、その動機が「いい女になるため」って何か違うだろ。
それじゃまるで外で働いていない女はいい女じゃないみたいじゃないか。
専業主婦として断固抗議するぞ!(と言いながら、家の中でも余り働いていない私☆アハハ!)
まあ好き嫌いはあるだろうが、途中でリタイヤしてしまった人にも、出来る事なら最後まで見て考えて欲しいドラマである。

他に今季ドラマはBSしか観ていなかったが、今思えば「女系家族」と「ドラゴン桜」も観れば良かった。
「がんばっていきまっしょい」も面白かったらしいし。むう。
再放送があったら頑張って観よう。


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