日々是迷々之記
目次|前|次
私の仕事というのは昼下がり2時過ぎくらいに手が空くことが多い。その時に洗い物や、書類をちょっと整理したりすることがある。今日はお客さんが多く、コーヒーカップを片づけないと次にお客さんが来たら困るなという感じに使い果たしていた。
ちょうど、お客さんが帰られたところやし…と思い、応接セットのカップを片づけようとしてびっくりした。20代後半と思われるこの業界としては比較的若めのの男性二人組が来ていたのだが、二人ともコーヒーを9割ほど残している。
いや、わたしがビックリしたのはコーヒーを残していることにではない。そのコーヒーの色、正確に記すなら透明度が私の知っているコーヒーのものではないからびっくりしたのだ。砂糖もミルクも入れていないコーヒーカップに9割ほど残ったコーヒーは何色だろうか?それは、濃いコーヒー色(当たり前すぎ?)で、決して底が透けて見えることはないはずだ。が、昨日登場した彼女の入れたインスタントコーヒーは、まるでウーロン茶のように明るい琥珀色だったのだ。つまり、底が透けて見えているのだ。
もしや、コーヒーカップにウーロン茶でも入れたのかな?と思ってちょっとニオイを確かめてみたが、確かにコーヒーだった。いやはや。
確かにコーヒーの濃さにも好みというものがあるかもしれないが、お茶ならでがらしより入れ立て、コーヒーは薄すぎるよりは濃くてコーヒーらしいほうが好ましいと思うのは私だけであろうか?私は彼女に教えてあげたほうがいいのか迷いつつ、自分の仕事に戻った。
夕方になり、自分の仕事が忙しくなり、コーヒーのことなどすっかり忘れた頃、またも彼女がお客さんにコーヒーを出した。今度は某商社を退職し、異業種に転職してきたおじいさんがお客さんだった。カップを片づけるときにまた、ビックリした。今度は全て飲み干されているのだ。しかも、小袋の砂糖2袋が空になって添えられていた。
このことから察するに、以下のような結論に辿り着いた。まず、若者は濃いコーヒーが普通であると思っている。おじいさんは薄いコーヒーを甘くして飲むのが好きである。何をいまさらと思うかもしれないが、これは私の長年の会社生活で発見した法則なのである。だからスターバックスにじいさんは少ない。
この考察をダンナさんに話したら、ダンナさんの会社でもコーヒーにまつわる笑い話があったそうだ。ある日、たまにしか来ないおっさんがおみやげとして近所の業務用の食品店でコーヒーを買ってきた。それはでっかい缶に入っており、上にはプラスチックの赤いふたがしてある。いわゆるレギュラーコーヒーなのはコーヒーを自分で入れる人間ならまぁ分かるだろう。
しかし、ダンナさんの会社にはコーヒーメーカーがなく、なんでこんなものをおっさんは買ってくるのだろうとわたしのダンナさんは思ったらしい。が、そこでだんなさんの直属のヨイショ上司が「ありがとうございます!」という感じでそのコーヒーを缶切りでがしがし開け、スプーンでそのコーヒーをカップに入れ、ポットのお湯を注いで飲んだそうな。それで、「なんじゃこりゃ!」という展開になったらしい。
わたしはこれを聞いて、レギュラーコーヒーかインスタントコーヒーかわからない人間がいることに驚いた。コーヒーを飲まない人ならそうかもしれないが、飲む人間でそれである。これはきっと、家ではヨメさんが、会社では女子社員が入れてくれるので、そういうことになったのだと思う。
その後、だんなさんの会社のコーヒーがどうなったかというと、ダンナさんが夜勤の時に自前で購入したペーパードリッパーでコーヒーを入れ、自分だけ飲んでいるらしい。
いやはや。どんなに会社でエラソーにしていても、自分の口に入る物のことをろくすっぽ知りもしないというのはどんなもんかと思う。「わし、スターバックス、苦手やねん。アメリカンも冷コーもないやろ?あの砂糖入れも匙ないからどんだけ入れていいかわからへんし。」とつぶやく50ウン歳。しっかりせえよ!と言いたい。(実際にそういう人がいます。)
男の人は、カップに残したコーヒーに生活が見えてしまう。さしずめ、女はどこに生活が見えてしまうのだろう?これ、という決め手がわたしにはまだわからない。食事の作法、好きなテレビ番組、いろいろと思いつくが決め手には欠ける。
う〜ん、どこなんだろう?
|