日々是迷々之記
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今年のゴールデンウィークはいつもとちょっと違っていた。ダンナさんの出張が伸びてしまい、一人で過ごすこととなったのだ。うむむどーしよ?と考え、そうだ私にはカブがあるではないかと思い立った。
一昨年に事故して以来、ツーリングはおおかた2年ぶりである。少し不安だが、どこかへ行きたい気持ちは変わらない。ふんどしのヒモをがしっと締めて行くことにした。(あくまで気合いの上の話でわたしがふんどし愛好家という訳ではありません。)
そうと決まれば行動は素早い。家の中からキャンプ道具や、食料をかき集めてきてどさどさとバイク用のカバンに詰め込んだ。金曜日の晩は残業だったが、明日になれば旅立てると思えば、ルンルンだ。
かくして土曜日の朝を迎えた。予定では5時に起床。6時出発だったが、残業のたたりか、目覚めたら9時だったので、ゆっくりコーヒーを飲み、「渡辺篤志の建もの探訪」を見てから出発する。なぁに、今日の目的は移動だけなのでのんびり行こうじゃないか、ハハハとカブに声をかける。どうも一人暮らしになってから独り言が多い。とにかく出発だ。
プルルン、パパパとカブは走り出す。南へ向かう道として、高速道路の高架の下道を選んだ。ここは周囲に工場しかないため非常に空いているため、和歌山へ行くときは定番のルートなのだ。しかし、これはカブには向いていない道だった。65キロで走っているのにぐぉん!と轟音と共にトラックに抜かれる。これが怖い。よく考えると、中型のバイクでここを走っていたときは100キロオーバーで走っていた記憶がある。ルート変更。地図を見て細い府道に入った。
これが正解だった。くねくねとしているが、土曜日のせいか車は全くおらず、カブのペースですいすいと流すことができる。だいぶ遠回りだが急いでいるわけではないので快適なのがいいのだ。40キロで峠を越えて和歌山へ入った。この時点で12時を過ぎている。
まだまだ南下する。途中でおなかが減ったのでファミマで休憩する。チキンバーガー220円也を購入。お茶は家でペットボトルに入れてきたモノを飲む。ちょっと背中を伸ばす運動をしてもう一度走り出す。このへんで80キロほど走ったか。
途中、有田という町を抜ける。ここは関西では有名なみかんの産地で山全てがみかん山になっている。ここの山越えはカブにはしんどかった。スピードが40キロまで落ち込むのだ。しかし、そこでがんばらずにさっとウィンカーを出して左に寄れば、後ろの車は抜かしてくれる。中型のバイクでは絶対そんなことはしなかったが、カブにはカブの走り方があるんだとちょっと思った。
そこからはそんなことの連続だった。和歌山は山と海が隣り合っているのでアップダウンが多いのだ。下りは70キロくらいで流せるが、上りは50キロをキープするのがやっとだ。でもそこで焦らずに道を譲る。すると、おおかたの人は「ありがとう。」という感じでハザードランプをピカピカさせてくれる。気張って走ることはないのだ。
白浜という一大観光地を過ぎると車はすっかりいなくなった。ここからはイッツマイワールド状態で走る。カブは加速が鈍重なのでなるべく減速をしないように走ると楽だ。ということでカーブではスピードを落としすぎずに、ライン取りでカバーするとヨイよとダンナさんが言っていた。ライン取りを考えながら進む。
そして白浜から約60キロを2時間で走ることができた。1回トイレ休憩をしたことを考えるとまぁまぁ走れた気がする。そして辿り着いたのが本州最南端の潮岬だ。
ここの芝生は無料のキャンプ場で、私とダンナさんが知り合った地でもあり、今まで何度となく遊びに来ている。ぼちぼち日が暮れてきたのでさっさとテントを張り、温泉へ行く。
ここの温泉「サンゴの湯」もこれまた定番で回数券を買った方が得かもと思うほど来ている。食塩泉なので非常に暖まるのが嬉しい。4月といえども8時間バイクで走ったあとはお風呂にはいると体中がじわ〜っとする。
じわじわほかほかの体で近所のスーパーへ行く。今日は疲れたのでさっさと食べて寝ることにした。アジのフライ、コロッケ、キュウリ、マヨネーズ、そして、メインディッシュに和歌山ラーメンセット(ただし閉店前の半額の品)を購入してサイトに戻った。もちろん、ビールも忘れずに。
テントに入り、早速ランタンをともし、ぷしゅっとビールをあける。うぐうぐと飲むと体にじわ〜っと染み入る感じがする。ぐわはっ。うまい。アジフライに家から持参のソースをかけて食べる。アジフライは手づかみに限る!と思うのは私だけだろうか?包丁で切ったり、箸で食べるとおいしさが半減するような気がするのだ。
とりあえず胃が落ち着いたので調理をすることにした。かばんから、タマネギを取り出し、必殺空中切り(左手にタマネギを持ち、右手の包丁でばさばさ切る)でタマネギを刻む。そこに塩をぱらぱらとかけてもみ、しんなりさせる。そこにこれまた空中切りのキュウリ、缶詰のツナを投入しマヨとひと垂らしのショウユで和えるのだ。これが焼酎に合うのだ。マヨツナ和えとコロッケを食べながら、焼酎を飲んでいると気分が良くなってきたので寝ることにした。
ぱちっとランタンを消して、寝袋に入ると、落っこちるようにしてネムリに入った。やはりカブと走る250キロは偉大なのだ。
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