日々是迷々之記
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「もうかんべんして…。」私はココロの中でそうつぶやいた。時は晩の6時を過ぎている。営業さんは皆帰ってしまい、課長と私と経理の女性が仕事をし、所長はコートを羽織って、ぎこぎこしている。
別に荒縄で縛られてつるされているわけではない。既存のフォームを開いて数字を入力していたら衝撃(笑激というべきか?)の事実に気がついたのだ。
本日のシメとして海外の代理店向けに英語で書かれた請求書を作成するのだが、それは会社によってフォームがいろいろあって、通貨も円建て、米ドル建て、シンガポールドル建てなどが入り乱れている。そこで、換算レートを入力し、最終的には米ドルで請求を起こすのだ。
で、そのフォームが問題なのである。それはただ、体裁だけが作ってあって、関数が一切入っていないのだ。要は数字を入力するだけである。で、合計や換算は電卓で手計算。そして手入力。アタマがくらくらする。なんのためのエクセルなのだ。
「あの、関数が入ってないんですけど。」私は平静を装いながら、このフォームをくれた課長さんに訊いた。するととんでもない答えが返ってきた。
「電卓で計算して入れるねん。なんか、自動的に計算もできるらしいけど、知らんし、めんどうやろ。」
どっちが面倒なんだか。自分ができないってだけやろって思ってしまった。いくらめんどくさがりのわたしでもその状況には耐えられないので自分で関数を入れることにした。
「ここがドルのときはこっちに合計をするように、円のときはこっち。で、ドルにはこのセルの換算レートを乗じて…。」うがー!何でこんなことをせないかんねん!お腹が空いてきた私は半分マジギレである。こんなときに限って、所長が近づいてくる。早く書類にサインして帰りたいのだ。あと2枚だからと目も合わせずに言い放つと席に帰った。
それから30分ほどして、やっと関数がまともに機能するようになった。ふ〜。マックユーザーになって早3年。その間エクセルに触れたことはほとんどない。つらい作業だった。
で、2枚の請求書を3分ほどで作り上げた。私は電卓をたたくのが遅いし、間違えるので、パソコンの方が早くて正確なのだ。って普通はそうだと思うけど。
しかしまぁ、所長にすれば「たった2枚でなんでこんなに時間がかかるんだろう。」と思っていることだろう。いいのさ。辞めるときはこの関数を組み込んだフォームはデリートして辞めるから。
帰り道にローソンで買い、道すがら食べた豚まんが胃袋にしみた夜だった。
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